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東日本大震災 ズバリ! その“特需”は需要の先食いです!

 3月11日以降、首都圏の多くの小売業では、買いだめ、買い占めが横行。たぶん、年末年始を上回る“特需”に近い売上を計上しているはずだ。

 

 実際、スーパーやコンビニエンスストアを訪れると、乾電池、トイレットペーパー、ティッシュペーパー、生理用品、紙おむつ、使い捨てカイロ、コメ、カップめん、パン、牛乳、海藻、納豆、レトルトカレー、パックごはん…棚は欠品の嵐である。

 

 スカスカな棚には、「何かを買わなければいけない」という緊迫した状況を演出する効果があるのだろうか?

 

 これが平常時だったならば、本部から機会ロスを怒鳴られながらも、どれほどうれしいことやら――。

 

 だが、小売企業各社は、「売れた、売れた」「“特需”だ」とこの状況を手放しで喜んでいてはいけない。被災地に対する配慮はもちろんのこと、自社の将来を考えてもだ。

 

 推測するに、足の早い生鮮食品を除けば、いまや生活者の冷蔵庫と物置には、たくさんの商品が眠っていると考えられる。

 冷静に見れば、“特需”とは単純に需要の先食いであり、反動は必ず現出する。

 今後、状況が落ち着けば、家庭内在庫の存在によって、またまた需要が伸びない時代が訪れる、と簡単に予想できる。

 

 つまりは、多くの小売業は、先を見越していまから、「1年間を通しての総需要量は変わらない」というスタンスに立った経営戦略を用意しておく必要がある。