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お客の声と品揃え(前編)

 日本リテイリングセンター桜井多恵子マーチャンダイジングコンサルタントの講義から(@日本リテイリングセンター〈青山〉3月17日 「スーパーマーケットの抜本的転換セミナー」)

 

 「お客からの要望を聞き、品ぞろえに反映させる企業が増えているが、これは大きな間違いだ。棚割は、完成させるまでに商品部が中心となって全社を挙げて、さんざん揉んで決めたものであるはず。それを数人のお客の声で一変させること自体おかしい」。

 

 「ある家具チェーンに電球が置いてあった。ほこりが被っていたので店員に聞くと、『お客の要望があったのでそろえた』という。『何人から要望があったのか?』を問うと、店前に住むたった1人の意見。よかれと思ってやっているのだろうが、こうした付け焼刃の政策が死に筋をつくることにつながっている」。

 

 ちょっと話は飛躍してしまうが、政治にも似たようなところがある。

 有権者の声をすべて聞いていたら、国家財政は破たんする。

 「税金を安くしろ!」。「子供手当を支給しろ!」。「老人介護手当を支給しろ!」。だから、戦略を決めた後は、どこかで有権者の声を聞かない、線引きをすることも必要だろう。