498円のレトルトカレーが飛ぶように売れている。
阪食(大阪府/千野和利社長)は、3月1日、「阪急百貨店大食堂の名物カレー」を発売した。
昭和4年(1929年)に世界初のターミナルデパートの阪急百貨店うめだ本店にオープンした大食堂は、目玉のメニューとしてカレーライス(1食25銭〈コーヒー付〉)を発売。昭和11年(1936年)に20銭(同)に値下げされたカレーは1日に1万3000食を売り上げる名物メニューとなり、平成10年(2002年)の閉店まで多くのファンに愛された。
「阪急百貨店大食堂の名物カレー」は、そのカレーをレトルト版で復刻したものだ。
企画を立案したのは、グロッサリー担当の大矢直人バイヤー。2008年8月のことだった。
しかし、当時のレシピを知るシェフを探すのに手間取り、話は遅々として進まなかった。ようやく、その存在を確認し、復刻の協力を申し入れた大矢バイヤーは、同じ足でハウス食品(東京都/浦上博史社長)にレトルト商品化の話を持ち込んだ。
納得ゆくまで何度も試作を重ねた結果、2010年9月に製造レシピが完成。12月にはパッケージも決まり、2011年2月から製造を開始する。
発売は今年3月1日。1食498円と高価な商品に阪食もハウス食品も大きな期待を抱いていたわけではなかった。しかしながら、いざ、ふたを開けてみれば、納品された3万1000食(うち阪食2万4000食、阪急百貨店7000食)は1か月のうちに売り切れた。
通常、500円のレトルトカレーは、1年で1万食を販売すれば、まずまずだというから、その30倍を売り上げるペースの大ヒット。だが、東日本大震災の影響で追加生産体制が取れなかったために、その後は、ずっと、品切れ状態が続いていた。
「昔はよく食べた、懐かしい」「ウスターソースをかけて『この味だわ』と感動」「関東出身ですが、これが関西の懐かしいお味なんですね」と消費者の反応はそれぞれだ。
4月25日現在は、生産も復活。阪食、阪急百貨店の各店舗で大々的に販売されているので、阪神エリアの方はもちろん、西日本にお立ち寄りの際には、隠れたヒット商品をぜひおためしあれ!