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多能工化を促進するレジ・イノベーション

 多能工とは、建築業界の言葉であり、“水回り”、“外溝”、“電設”など複数の種類の工事をこなせるようにトレーニングされた技術者を指す。

 

 いま食品スーパー業界では、この多能工が注目されている。

 

 これまでパート・アルバイトを含む従業員の所属は、部門ごとに分かれており、縦割り組織が一般的だった。鮮魚部門に配属された者が、青果部門や総菜部門の仕事をすることは、まずなかったし、レジを打つこともなかった。

 

 ところが厳しいこのご時世。さらなる低価格化を実現するためには販売管理費を削減すべしという流れが起こり、経費の中でもっとも大きな人件費にメスが入り始めた。

 

 これを受けて、従業員の多能工化を実践している企業が増えている。

 具体的には、配属部門を問わず、従業員の空いている時間に、品出し、レジなどの他部門を助けようという動きが顕著になっているのだ。

 

 そこで注目されているのはハードとしてのレジ機能である。

 素人同然の従業員が担当したとしても、迷うことなくスムーズに精算できる。操作性の簡素化に向けて、レジメーカー各社は各様にレジシステムの改善に乗り出しており、本当に面白い。

 

 たとえば東芝テック(東京都/鈴木護社長)の場合は、バーコードを従来のレーザースキャンではなく、画像としてCCDカメラで読み込むような技術を開発した。カメラで読み込むわけだから、この延長線上には、バーコードのついていないリンゴやバナナ、アジ、サバなどの生鮮食品を画像として読み込み、判断するというウルトラCがある。

 まだ実用段階にはいたっていないが、全ての商品を勝手に認識してくれるのであれば、レジ作業は本当に楽になり、小売業のコストカットに貢献するようになるだろう。