「スコッティ」「クリネックス」は何のブランドでしょう、と聞かれて、答えられない読者はたぶんいないはずだ。
正解は、ティッシュペーパー。この2つのブランドは日本国民の間にそれだけ浸透していると言っていい。
しかし、この日本を代表する2ブランドを展開する企業が同じということを知っている読者は、少ないかもしれない。さて、どこだろうか?
正解は、日本製紙クレシア(東京都/酒井一裕社長)だ。
「スコッティ」ブランドを持つ山陽スコットと「クリネックス」ブランドを持つ十條キンバリーが1996年に合併、クレシアとなり、2006年8月に現社名になった。
それでは第3問。「スコッティ」と「クリネックス」の違いは何だろう?
食品スーパーやドラッグストア、ホームセンターの店頭でよく見かける両ブランドだけれども、これは難問なのである。
正解は、分からない、ということ。実は、同社社内でも明確な線引きをすることがないまま、これまでは製品を展開してきたのだという。
そこで同社は、この秋から2つのブランドのリ・ブランディングを行う。
日本においてティッシュは、「鼻をかむ」という用途だけでなく、「化粧直し」や「テーブル拭き」など様々なシーンで使用されていることを勘案して、「品質・価格帯」、「使用シーン」の2つの軸でマトリクスを描いた。
「スコッティ」ブランドは、標準(スタンダード)の品質と価格で展開。鼻紙からテーブルを拭くまで何にでも使える「スコッティティッシュー フラワーボックス」と「スコッティティッシュー」をラインアップする。
一方で高品質を打ち出すのが「クリネックス」ブランドだ。「クリネックスティシュー」と「クリネックスティシュー アクアヴェール」を揃え、上位製品ほど「肌ケア専用」志向を高くしている。
低価格のみを訴求するプライベートブランドに押されがちなティッシュは、小売業の目玉商品にされてしまう傾向が強い。
だが、日本製紙クレシアは、これまでの認知率の高さを有効に生かしつつ、リ・ブランディングすることで、新しい成長に向けてスタートを切る。