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2010年の注目人(1) アイリスオーヤマ 大山健太郎さん

 「天皇杯準決勝のベガルタ仙台対ガンバ大阪戦では、1万人の応援団が仙台から国立競技場に駆け付けました。これでも、“不況”というのでしょうか?」。

 生活用品製造卸(=メーカーベンダー)のアイリスオーヤマ(宮城県)社長の大山健太郎さんは、マスコミの報道と経済の実態の乖離に疑問を投げかける。

 アイリスオーヤマは“不況”もなんのその。2009年12月期も好調をキープし、売上高は800億円を超えた。

 

 アイリスオーヤマの好調を支えているのは商品開発にある。

 1年間に1000アイテム。1週間に約20アイテムが新発売されており、新商品(=発売開始から3年以内の商品)の売上高に占める比率は41%に達した(2008年度)。

 

 「既存商品の売上高は対前年度比で8掛けから9掛けが当たり前。放っておけば、既存店舗はどんどん売上を落としていくことになります。しかしその一方で、取引先様は、既存商品に代わる新商品を欲しがっているのです。そこで生活者視点で開発した当社の新商品をご提案させていただく。この地道な繰り返しです」と大山さん。

 2009年度は、新商品の売上高構成比率が50%を超えた。

 

 アイリスオーヤマのもうひとつの強みは、チャンス到来と見ると凄まじいスピードで猛進する瞬発力にある。

 たとえば、2009年度の新型インフルエンザへの対応だ。

 2009年2月にメキシコで新型インフルエンザの発生が確認。3月30日にアメリカに飛び火したと報道がなされる。

 大山社長は、その日のうちに中国大連工場におけるマスクの月産600万枚生産体制を10倍の6000万枚体制に増強。さらに1億2000万枚体制に迅速に切り替え、一気に沸点に達するであろう日本の需要に備えた――。

 

 業績悪化を“不況”のせいにするのは、経営者としての責任を放棄している証ではないかと、アイリスオーヤマの動き方を見ると考えさせられてしまう。

(詳しくは『チェーンストアエイジ』誌2010年2月15日号で)