内閣府政策統括官室の景気ウォッチャー調査を毎月興味深く読んでいる。
http://www5.cao.go.jp/keizai3/watcher/watcher_menu.html
2000年より開始された経済調査であり、発案者は経済評論家で作家の堺屋太一さんだ。
日本国内の景気を予測するため、タクシードライバーや居酒屋の店主などに直接話を聞くというもの。全国で2050人に上る調査員(ウォッチャー)の人選は、業務委託されたシンクタンクが行っている。その調査員たちの景況感を「現状」と「先行き」に大別して、「家計動向」「企業動向」「雇用関連」の3項目を集計している。
9月8日に発表された最新調査によれば、2010年8月の「現状判断DI」は対前月比4.7ポイント低下。「先行き判断DI」も同6.6ポイント低下と厳しい数字が並んでいる。
「現状」をもう少し細かく見ていくと、猛暑の影響で「エアコン、扇風機などの夏物家電が好調」(家電量販店)、「アイスクリームやスポーツドリンクが好調」(コンビニエンスストア)とフォロー風が吹いている業種もある。しかしながら、「新型インフルエンザで落ち込んだ前年よりは良化したものの2年前との比較ではさほど伸びていない」(旅行代理店)、「猛暑で近くでもタクシーに乗ってもらえる状況のようだが実際には乗ってもらえない」(タクシー運転手)という意見もある。「破格の水準で受注獲得競争が続いており、採算を確保しての受注機会は極めて厳しい」(建設業)と悲観的な業界もある。
「先行き」となると、悲観論が主流だ。
「10月からのたばこ増税による価格改定でお客の来店頻度は減少する」(コンビニエンスストア)、「円高でなかなか厳しい」(日本の観光地)、「エコカー補助金の終了で不透明感が強い」(電気機器具製造業)。「急激な円高と株価の下落が企業業績に影響を及ぼし、雇用情勢も先行きが見えない」(新聞社=求人広告)。
なんとなく、このところの猛暑は、経済を刺激して、需要を大きくしているような感覚を持ってしまっていたが、景況は依然として厳しいことが分かる。
景気ウォッチャー調査をタイムリーで鋭い調査だと私は高く評価している。