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夏休み特別企画 ウォルマートに打ち勝つ経営(4-1)

 流通業界の“王者”の象徴的な企業として、真っ先に思い浮かぶのはウォルマートである。

 15の国と地域に9230店舗を展開し、2011年1月期の売上高は4189億ドル(日本円換算約32兆円、対前期比3.4%増)にも及ぶ。

 

 ウォルマートの強みは、EDLC(エブリデー・ローコスト)体制に基づく、EDLP(エブリデー・ロープライス)政策の徹底である。

 

 これだけ広大な範囲に店舗を展開しながらも、売上高販売管理費率(=経費率)は19.3%、粗利益率は24.7%と過去5年間を振り返ってもほぼ一定している。

 

 ウォルマートの強みは、コモディティ(=必需品)を主力商品に据え、EDLCとEDLPをさらに進化させていることだ。

 

 縦軸を粗利益率、横軸を売上高販売管理費率(=販管費率)として各企業をプロットしていった図1で言えば、右上(高粗利益率、低販管費率)の“王者ゾーン”に君臨する世界最強の小売企業である。

 

 これに対して、一般的な企業は、「マクネアの小売の輪」理論通りに、徐々に高コスト体質にシフトしていく。

 創業時には、図1の右下の事象にいた企業も、経年により、人件費などの販管費は高騰の一途を辿るようになり、左下の事象(低粗利益率、高販管費率)へとシフトしていく。 

 

 左下の事象は、物販だけでは儲からないような状態だ。そこで左下事象の企業は、営業利益の黒字化を狙い、テナント収入などを付加することで帳尻を合わせている。

 

 (明日に続く)