2011年2月20日のBLOGを以下のように書き出した。
「もはや…、製造業は、以前ほど技術やノウハウを内包しなくても競争力を持ち、製品を製造・供給することができる。たとえば、テレビを製造するのであれば、それぞれの部品を専業メーカーから取り寄せ、組み立てればいい。それが“パーツアッセンブル”だ」
この“パーツアッセンブル”は、食品、日用雑貨など、それほどの技術やノウハウを必要としない製品では隅々にまで及んでいる。
たとえば、ミネラルウォーターだ。
ミネラルウォーターを“パーツ”に分類していくと、①水、②PETボトル、③キャップ、④ラベル(=フィルム)、⑤キャップの刻印、⑥フィルムの印字と大きく6つに分類される。
これらが部分ごと(=parts)にバラバラに製造され、ミネラルウォーターの製造工場で「集め、組み立て」(=assemble)られているのだ。
そして、この数日間であっという間に、品薄となったミネラルウォーターの増産がなかなか進まない主因は、“パーツアッセンブル”にあることが判明した。
東日本大震災で大手キャップメーカーの工場が被災したために、③キャップの増産ができなくなっているからだ。キャップの色や形や大きさが、メーカーごとにまちまちであることも生産量があがらない原因となっている。
同じような原因で品薄に陥っている製品は少なくない。
納豆のパッケージ、缶ビールのパッケージ用インク、コメの袋、焼きそばのソース…。製品の中身自体はあるのだが、包材や付属品の手配がつかないために品薄を余儀なくされているものが結構存在している。
そうした中で、興味深い動きで異彩を放ったのは、日清食品(大阪府/中川晋社長)だ。「日清のどん兵衛 きつねうどん」に使用しているカマボコ生産工場が被災し、一時的に調達が不能になった。
しかしながら、即席めんの全国的な品薄状態に対応すべく、一部の製品をカマボコ抜きで製造、出荷している。
東日本が非常事態に陥っている中では、これは英断だと評価したい。「されどカマボコ、たかがカマボコ」という割り切りは、製造業のプライドを考えれば、なかなかできるものではないからである。
“パーツアッセンブル”の影響で「パーフェクトな製品」をつくることは難しいかもしれないけれども、ちょっと見方を変えれば、「パーツ不足のまま製造」「量り売り」などの対策もとれるわけであり、製造業各社も流通業各社も今が知恵の絞りどころである。