現在のチェーンストア業界では、小型店舗の出店に活路を見いだそうとする企業が増えている。
小型店舗は、初期投資が小さく、小商圏が対象なので競争も少ないという利点がある。商圏人口1万人で成立する店舗なら、日本全国1万2000店舗を出店する潜在性がある。
その一方で、一時代を築いてきた大型店舗のトレンドは終息に向かおうとしている。
改正まちづくり3法の施行により、延べ床面積1万㎡以上の出店が難しくなり、インターネット通販の登場でロングテールをリアル店舗で持つ優位性も薄くなってきた。
また、高齢化がますます加速する日本社会にあって、広大なスペースを歩かされる店舗は時代の趨勢にマッチしなくなっているのである。
ある経営者は「大型店舗出店によるワンストップショッピングは幻想であり、モノが充足している、いまの消費者が一番欲しているのは、ちょっと行って欲しいモノがすぐ買い物できるショートタイムショッピングである」と力を込める。
そして、ポスト大型店舗主義は、小売市場の活性化にとっては、有効に作用するはずだ。これまで、小売企業は、「モノマネ」=「ビジネスモデル」だった。
成功した企業のビジネスモデルを単純にマネることを常とした各企業は、今後、小型店の開発を進める中で自社の適正規模を探し、自社の商品政策をスタートさせなければいけないからだ。
消費者と真摯に対峙して、足元商圏を押さえるために何をすべきか?
まだまだ、成功事例が少ないなかで、自らの判断で決めなければならない。