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MDを後退させるな!

 東日本大震災後の小売業界は、ちょっと景気がいい。

 3月11日の地震発生以来、買い占め、買いだめ需要や、内食需要、補修需要などに支えられ、3月~4月の売上は好調なところが多かった。

 5月に入ってからは、好不調まだら模様になってきているようだが、相対的には順調に推移している企業が少なくない。

 

 これまでの需供バランスが崩れ、需要が供給を上回っていることが最大の要因と見られる。この条件下でのチェーンストアシステムは本当に強いと思い知らされるところだ。

 

 ただ、「チェーンストア企業は、決して浮かれてはいけない」と警鐘を発するのは、ある大手小売業OBだ。「需給バランスが崩れているから、いまは何も努力しなくても対前期比200%、300%と売れている店舗も多い。でも、それは実力ではない」。

 

 OBは続ける。「東日本大震災は、売れることに胡坐をかき、これまで各小売業が必死に積み上げてきたMD(商品政策)を後退させる可能性があると自戒しなければいけない。こういう時期だからこそ、MD力に磨きをかけなければいけない」

 

 東日本大震災の“特需”の後に、MDが退化してしまったという事態だけは避けなければいけない、ということだ。