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ビジネスの目的の1つは需要創造である

 今年の4月にTOTOの社長に就任した張本邦雄さんは、「リフォーム事業のライバル企業はどこか?」という問いに「携帯電話会社、自動車メーカーや旅行代理店」と答えていた。自宅のリフォームをまったく意識していない潜在顧客の資金はどこにでも流れる可能性があることが大きな理由だ。

 

 この考えから、TOTOは、新しいコンセプトであるリフォーム売場を開発し、潜在顧客に精力的に働きかけ、呼びかけ、消費者のリフォーム需要を顕在化させることに注力してきたし、いまも継続させている。

 

 TOTOが実践しているように、ビジネスの大きな目的のひとつは、需要を創造することにある。しかしながら、ホームセンターなど住居関連商品販売をドメインにする小売業は、既存(=顕在)需要のシェア獲得主義からなかなか抜けられず、相変わらず安売りに奔走している。

 

 きしむ床は綿ぼこりまみれ、白い壁はタバコのヤニが染みをつくり、排水口にはカビだらけ、目前を走るクルマの騒音はけたたましい…。“我が家”をちょっと見回しただけで、これだけの不安、不快、不便、不満、不都合(=潜在需要)があり、消費者はどこに相談していいのかさえからない、のにである。