マニアックなCDを購入した。
『角川映画主題歌集~デラックス [Limited Edition]』(4200円)。詰め込まれている楽曲が懐かしくうれしい。
さて、中身と言えば…。
1. 愛のバラード (『犬神家の一族』:大野雄二プロジェクト)
2. 人間の証明のテーマ (『人間の証明』:ジョー山中)
3. 戦士の休息 (『野性の証明』:町田義人)
4. 蘇える金狼のテーマ (『蘇える金狼』:前野曜子)
5. 戦国自衛隊のテーマ (『戦国自衛隊』:松村とおる)
6. You are love (『復活の日』:ジャニス・イアン)
7. スローなブギにしてくれ(I want you) (『スローなブギにしてくれ』:南佳孝)
8. 守ってあげたい (『ねらわれた学園』:松任谷由実)
9. セーラー服と機関銃 (『セーラー服と機関銃』:薬師丸ひろ子)
10. 汚れた英雄 (『汚れた英雄』:ローズマリー・バトラー)
11. 光の天使 CHILDREN OF THE LIGHT (『幻魔大戦』:ローズマリー・バトラー)
12. 探偵物語 (『探偵物語』:薬師丸ひろ子)
13. 時をかける少女 (『時をかける少女』:原田知世)
14. 里見八犬伝 (『里見八犬伝』:ジョン・オバニオン)
15. 愛情物語 (『愛情物語』:原田知世)
16. メイン・テーマ (『メイン・テーマ』:薬師丸ひろ子)
17. 晴れ、ときどき殺人 (『晴れ、ときどき殺人』:渡辺典子)
18. Woman “Wの悲劇”より (『Wの悲劇』:薬師丸ひろ子)
このほかにDISC2もある。
80年代に青春時代を送った我々の世代にとっては、涙がちょちょぎれる内容である。
そのくらい、角川映画は時代を築いた一大ムーブメントだった。
角川映画は、角川春樹さんという出版業界の怪物を抜きにしてはありえなかった。
横溝正史さん、森村誠一さん、高木彬光さんといった力を持ちながらも、なかなか恵まれていなかった作家にスポットを当て、時代の寵児に祭り上げ、小説を売りまくるプロモーションビデオとして機能した。
角川映画が映画業界にもたらした変革はまだまだある。
「読んでから観るか、観てから読むか」のキャッチコピーをテレビコマーシャルで流すなど、メディアミックスを先駆けた。
14歳の薬師丸ひろ子さんを発掘して『野生の証明』に起用、売り出しに成功。それ以降、アイドル路線に傾倒して、原田知世さんと渡辺典子さんの3人を“角川三人娘”として売り出した。小説、映画、に加え、レコードまで売ってしまう商魂には驚かされたものだ。
テレビと映画の相互乗り入れ、新進気鋭の若手監督の起用、アニメーションへの進出など角川映画は、次から次と新しい手法を旧態依然としていた映画業界に織り込んできた。
しかも、たくましい商魂をあらわにしながらも、本命の映画では、『蒲田行進曲』(1982年)や『麻雀放浪記』(1984年)、『ぼくらの7日間戦争』(1988年)などの秀作も頻繁に制作して若いころのエンターテインメントとして楽しませてくれた。
1993年に角川春樹さんが社長を辞職してからは、あまりぱっとしたタイトルはないけれども、このCDを聴きながら、遠くなった青春時代の幻影を追い求めている。