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死んでしまえばみんな美しい!

 『座頭市』などの作品で大活躍した昭和の名優、勝新太郎さん。いまや豪放磊落な人物の代名詞として語られ、芸能界内での評価も高いのは周知の通り――。

 しかし、晩年の勝さんは、叩かれっぱなしだった。麻薬の不法所持、多額の負債、大病罹患と負の話題を振りまいた。

 

 やすしきよしでお馴染みの横山やすしさんの評価もジェットコースターのように山あり谷ありだった。相棒の西川きよしさんとの掛け合いは日本一――。

 ところが後年の横山さんが仕事で評価されることは少なく、タクシー運転手とのいざこざ、酒気帯びでのテレビ出演、相次ぐ暴言、暴行事件、人身事故などのゴシップネタを提供し続け、芸能ジャーナリズムの格好の標的になった。

 

 2人とも昭和の芸能界の巨人であることは間違いないが、とんでもない問題児であったことも事実。一般社会では間違いなく通用しない。

 けれども、2010年のいまとなっては、神格化されて、マイナスのエピソードでさえも、彼らの功績を引き立てる薬味の役を果たしている。

 洋の東西を問わず、故人は美しく語られるものなのだろう。

 

 一昨日、書類送検の事実が明らかになった元朝青龍の場合はどうだろうかと思う。

 幕内優勝回数25回は、大鵬の32回、千代の富士の31回に続く第3位。通算成績:669勝173敗76休(勝率7割9分5厘)。全盛期の中での引退であるだけに、「もし引退していなければ、優勝回数の新記録をつくったはず」という“朝青龍伝説”を残した。

 

 元朝青龍も、さまざまな報道にあるように、実際にお行儀は良くないのだろうが、それも彼が鬼籍に入ってしまえば、「やんちゃな平成の大横綱」という一言で再評価されてしまうのだろうから歴史とは摩訶不思議なものだ。