NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』を見るのが習慣化している。毎週1週間分を撮りだめして週末に一気に見る。
『ゲゲゲの鬼太郎』や『悪魔くん』などを世に出した漫画家・水木しげるさんの夫人、武良布枝さんの自伝がベースになっているドラマだ。
主人公の松下奈緒さんも、水木さん役の向井理さんもフレッシュな感じでなかなかよいけれども、私にとっての抜群の存在感をみせているのは、松坂慶子さんだ。
先週まで、東京都調布市の貸本屋「こみち書房」の女主人役で出演していた。
実は、あまりにもふっくら丸々としていたのではじめは松坂さんだと分からなかった。
松坂さんを初めて知ったのは、『ウルトラセブン』だった。少女の体内に入り込んだ「宇宙細菌」をウルトラセブンがミクロ化して退治に行くというエピソードに登場。その少女役が松坂さんだった。
民主党参議院議員候補の岡崎友紀さんのライバル役で出演していた『おくさまは18歳』でも嫌みのある美少女が印象的だった。
そして、なんといっても青年期の目にまぶしかったのは、TBSドラマ『水中花』内でバニーガールの姿で『愛の水中花』を歌う松坂さんだ。日本中の男性を虜にするとともに、「美女=松坂さん」の名をほしいままにした。
『青春の門』『蒲田行進曲』など、その後の活躍ぶりはここに記しきれないくらい多いが、いまはセクシャルな部分で男たちをくらくらにするという感じではない。
『ゲゲゲの女房』の中の松坂さんを見るにつけ、売りにしてきた「美貌」の衰えははっきりしている。でも、齢を重ね、味わい深くなった顔と体型、そして演技は、若いころとはまったく違う美しさや輝きを見せている。
人の風貌や容姿は変わる。それに抗うことは誰もできない。
変わりゆく自分をしっかりと受け止め、それを踏まえたうえで、演技を続ける松坂さん。
中年サラリーマンにも進みゆく道を教えてくれているような気がする。