小学生のころ、区内のスポーツ大会があり、ソフトボールを68m投げる同級生がいて本当に驚かされた。私の記録は約40mと平均よりやや上のレベル。特別表彰される彼を眺めながら、「プロ野球選手にでもなるのだろうな」と羨ましく思ったものだ。しかし、その後の消息はまったく知らない。
そのことから考えると、ボストン・レッドソックスに所属する松坂大輔選手は、たぶん、小学生のころは、神童と呼ばれ、地域内外で大変な存在感を見せていたに違いない。
中学生のころもそうだろうし、もちろん高校に入ってからも飛びぬけていた。
高校3年生の夏の甲子園大会の決勝で、ノーヒットノーランを達成するくらいなのだから、“松坂世代”に属するどんなプロ野球選手よりもずば抜けていたはずだ。
西武ライオンズに入団してからも同じだ。
108勝60敗。松坂大輔選手は、日本一のピッチャーの座を長く守り続けてきた。
ところがメジャーリーグに入りしてからはどうだろうか?
決して二流ではないが、ケガに泣かされていることもあり、超一流というレベルにはほど遠い。
ナンバーワンにしかなったことがなかった松坂選手でさえ、上には上がいるということを思い知らされたはずだ。
そして、上には上があるというのは、野球の世界だけの話ではない。
さきほど、カメルーンイレブンに快勝したサッカー日本代表の選手たちも、どこかの段階で同じようなことを味わっているのだろう。
小売業の世界も同様であり、「当社の店舗は世界最高、他社は参考にする必要がない」と自惚れたとしても、必ず、世界のどこかには、それを超える店舗はあるはずだし、仮にその時点で世界一だとしても、いつか後生に追い抜かれることになる。
これでいいと思った瞬間に、成長は止まってしまうものだ。
だからこそ、謙虚さを持ちながら、常に上には上がいることを肝に銘じて、事業や生活に臨みたいものだ。