12月11日のBLOGでインドの市場の特性は「Small is big」(=ちりも積もれば山となる)市場であると紹介した。
インド市場のBOP(ボトム・オブ・ピラミッド)のパワーは、それほどまでに大きい。
実は、日本にも同じような市場がある。
一般白熱電球の市場である。
一般白熱電球は2008年に甘利明経済産業大臣(当時)が、「2012年までに国内での製造・販売を中止する」という方針を表明。これを受けて、東芝ライテック(東京都/福田正巳社長)、パナソニック(大阪府/大坪文雄社長)、NECライティング(東京都/増田博行社長)、三菱オスラム(神奈川県/津谷公三社長)などが相次いで、製造中止を実施したり発表したりして、LED(発光ダイオード)電球などへのシフトを進めている。
また、LED電球の単価は1000円台の後半まで下落しており、庶民にもようやく手が届くようになってきた。
しかしながら、それでも依然単価高であることには変わりなく、交換に要する初期投資費用は小さくはない。
たとえば、私の自宅の一般白熱球を数えると、ざっと20個近くあるので1個1800円で計算しても合計3万6000円。1年間使用すれば、電気料金を相殺するだけでなく、黒字になることは頭の中では分かっているのだけれども、一斉交換にはつい二の足を踏んでしまう。
そこで私のように、LEDを買えない、買わない消費者はどこへ向かうかといえば、100円ショップである。
韓国産や中国産の一般白熱球を1個100円で買い求めているのである。一般白熱電球の販売数量は漸減傾向にあるとはいえ、依然として物凄い数だろう。まさに「Small is big」の市場なのである。
海外の一般白熱球メーカーにとっては、戦うことなく強力なコンペティターが次々と撤退してしまった日本市場は、いま、“草刈り場”だ。
日本の家電メーカーは「Small is big」である一般白熱球市場を海外メーカーに競争することなく手放してしまったのである。