2011年8月期に入ってからの既存店売上高は以下のような数字が並ぶ。
9月:75.3%、10月:98.9%、11月:85.5%、12月:84.5%。4か月の合計では86.7%。
さて、この数字をいかに見るべきだろうか?
百貨店、GMS(総合スーパー)、食品スーパーやコンビニエンスストア、ドラッグストアなら考える間もなく、「悪い」と結論できるかもしれない。
天候要因が大きく影響するホームセンターやアパレル専門店の場合は、前年の天候と実績の相関関係を比較しなければわからない。
ちなみに冒頭の数字は、ファーストリテイリング(山口県/柳井正社長)の国内ユニクロ事業の売上高推移だ。既存店のマイナスは8月以降、5か月連続。機能性肌着「ヒートテック」などのヒットで前年、前々年と売上げが大きく伸びた反動が続くことに起因している。
たぶん、一般紙誌や証券アナリストや機関投資家は、この数字を「悪い」と一刀両断にして、「ユニクロ危機」などと評するのだろうけれども、私はそうは思わない。
国内ユニクロ事業は、年度ごとの既存店舗の浮き沈みが激しいという特徴を持つ事業であるからだ。
もちろん、既存店舗の売上高を死守する努力や試みは必要だろうが、そんなことはユニクロの経営者や従業員は十分承知しているはずだし、回避策は打たれているはずだ。
にもかかわらず、たびたび、大きな既存店割れの数字が出るということは、ユニクロ事業とは、“そういう事業”だからである。
ユニクロのようにビジネスモデルが他の小売業と大きく異なるということは、企業の良し悪しを評価するモノサシも違うと考えるべきではないだろうか?
たとえば、「ユニクロは、既存店舗の増減では業績の評価をしにくく、営業利益額で1000億円(通年)を維持してればよい」といった具合に、ちょっと違う尺度で良し悪しを決めるような見方があってもいい。