東京商工リサーチの調べによれば、青果小売業や精肉小売業など飲食料品小売業の2020年1〜9月の倒産(負債総額1000万円以上)は188件で、前年同期比18.9%減だった。1991年以降の30年で年間最少だった2016年の255件を下回るペースで、最少記録を更新する可能性がある。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う在宅勤務や外出自粛で、巣ごもり消費の特需が生まれたことが追い風となった。オンライン飲み会なども寄与したとみられ、鮮魚小売業や菓子・パン小売業、酒小売業なども倒産が減少した。
負債総額は18.2%減の199億1400万円で、2年ぶりに前年同期を下回った。国や自治体の各種支援策で、資金繰りが一時的に緩和したことも倒産が減った要因となっていそうだ。
ただ、飲食料品小売業は小規模・零細企業が多く、倒産が減少している一方で、休廃業・解散は1〜8月で1034社と前年同期に比べて110社増加しており、東京商工リサーチでは「倒産だけでなく休廃業・解散の動向も注視しなければならない」としている。