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落語家・立川志ら乃のスーパーマーケット徒然草 第13回 オーケーの「ポイントが貯まらない会員カード」の魅力

関東でも梅雨明けが発表され、うだるような暑さが続く毎日。スーパー大好き落語家・立川志ら乃師匠はポイントカードに思いを巡らす――。

とにかく使えばいいのか、たっぷり貯めるべきなのか

 読者の皆様、スーパーマーケットの会員カードは利用されていますか? 定期的にスーパーへ通う人の多くが使用しているであろうお店専用のカード。そしてそのほとんどが「ポイント」をためる形式だと思います。

 この「ポイント制」について、「ポイントは使って初めて効果を発揮します。ですので、ポイントはその都度使った方がいい」という意見をどこかで目にしてから、「確かにそうかも」とできる限り使っていく生活に切り替えました。

  とはいえ、確かにいっぱい貯めてドーンと使う方が”あぶく銭感”を味わえ気持ちが良かったり、そもそも貯める行為自体がイベントになる人も多いと思うので、各々の人生観でカードと向き合えば何の問題はありません。

  しかし。一瞬よぎりませんか?

  「今日はポイント5倍デーじゃないから、ちょっと損してるかも」

  みたいなことを。

  もっと極端な発想だと、

  「今死んだらこのポイントはどうなるんだ!」

  など。

  まぁ死んだらポイントに限らずすべてのことが「どうなるんだ!」となるのでこれは極論すぎますが、でもあながちそうでもないかも、と思えてきました。

ポイントが貯まらない。だがそれがいい! 

  なぜお店はポイントカードを発行するのか? という問いに対し誰でも簡単に、

 「集客のため」

  と答えられると思います。そうです。集客のためにポイントカードは発行されているのです。なぜなら、ポイントは次回以降の来店でのみ威力を発揮するものがほとんどなので、ポイントを活かすためにはもう一度お店に足を運ぶ必要があります。

  そして、仮に次に来店した際にポイントを使ったとしても、その日に貯まったものは次回以降のみ使用可能。通い続けることでのみ効果を発揮する、言い方を変えれば「使い切ることができないシステム」なのです。

 ところが、愛するオーケーの会員プログラム「オーケークラブ」は違います。

  オーケークラブのカードはポイントが貯まりません。持っていることで価格が割引されるいわば「値引きカード」なのです。無理やりポイントカードとして置き換えて考えると「毎回即時ポイントを使用する・できる」カードなのです。

オーケークラブのカードはポイントカードではなく、持っているだけで割引が適用される仕組み(画像はオーケーのHPより)

 地味だけど、気遣いの塊なのです

 「ポイントが貯められないのは楽しくない!」という方は、ここで読むのを切り上げ是非ポイントが貯まるスーパーに今すぐ行って下さい。以下、私が考えるポイント制ではないオーケークラブカードの魅力をご披露します。

①レジでポイントを貯めるか否かの確認がない

 現金、クレジットカード、電子マネー、バーコード決済…支払い方法が多岐に渡る今、その確認だけでもレジ対応で多くの時間が割かれます。そこに「ポイントカードお持ちですか?」「ポイントは使わずに貯めますか?」といった確認も発生すると、混雑時間帯はレジが大渋滞。実際そのような現場をたくさん目撃しましたので、少しでも作業の削減がなされている方がお店もお客もありがたいことだと思います。

 ②「使い切れない」ということが絶対に起こらない

 発行即日有効な値引きカードなので当然なのですが、「ポイント残留」が発生しない仕組みになっています。だから会員は得をする」というよりも「損をしない」。見方を変えると、オーケークラブのカードには「次回来店をカード(ポイント)によって促す」というお店側の「集客」という欲望が透けて見えることがない。それがオーケークラブのカードの魅力なのです。

 派手なポイント還元セールやポイント○倍キャンペーンなどがありませんので、地味です。オーケークラブカードは地味です。でも、お客の立場を徹底的に考えているカードはオーケーカードだと私は思っています。

 カードを持ってさえいれば、常に割引価格で買物ができる――。酒専門店のカクヤスが「23区内送料無料」という手法を取っているのと少し似ているなと思いました。23区民であれば「自分がエリア内にいるのかどうかの確認」というストレスがない。

 あと、これはまた違う方向性のサービスですが、お母さんがカードを所持しており、家族の他の人間がそのスーパーで買物をした際、「レシートを後日持って行き後付けしてもらう」みたいなことをなくそうと、丸正では本カードの他に家族用でハーフサイズのカードが2枚もらえるという粋なサービスも。

 「ポイント付与」にとどまらないこうしたアイデアは、その店舗の”気遣い”だと思うのです。

 

立川志ら乃

1974年2月24日生まれ。98年3月、立川志らくへ入門。2012年12月に真打ち昇進。16年7月に「スーパーマーケットが好きである」ことを突如自覚。スーパーに関する創作落語に「グロサリー部門」「大豆なおしらせ」など。

Twitter:@tatekawashirano

ブログ:https://ameblo.jp/st-blog/