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広島市の繁華街・八丁堀、昭和の雰囲気漂う精肉店直営の食堂で「寿き焼き」をいただく

広島県にやってきた。このところ訪れる機会がたびたびあるが、いつも用事が済むと何もせず帰っていた。久々に少し時間に余裕があったため、あちこち楽しもうと計画を立てた。今回は、宮島へ行って観光した後、広島市中心部・八丁堀へ移動、精肉店直営の食堂で夕飯をいただくという充実した時間を過ごしたお話だ。

地元客でにぎわう広島の食堂へ
地元客でにぎわう広島の食堂へ

波に揺られながら最初に向かったのは”宮島”

 仕事で各地へ行くが、不思議なのは方面が偏るということだ。ある年は九州、またある年は東海といったようになぜか重複する。今は中国地方、とくに広島県に風が吹いており、ここ数ヶ月で56回は来ているだろうか。

 だがいつも仕事が終われば京都へすぐ直帰。とくに思い出もなく、ただ「行ってきた」だけの経験を重ねるだけだった。これではつまらないと、今回はいろいろプランを立て、楽しもうと考えた。

 めざしたのは宮島(正式名称は厳島)。離島が好きで、機会があれば足を運んでいる。手軽に非日常を味わえるからかもしれない。JR「広島」駅からだと山陽本線に乗って27分、そこからフェリーに乗って現地に着く。

フェリーで宮島へ向かう

 前回、宮島に来たのはコロナ禍前のことで、以来78年は経っている。なので「現地は今どうなっているのか」と気になっていた。

 早速、フェリーに乗る。約10分すれば宮島に上陸だと考えるとわくわくする。右舷のデッキに立ち海を覗き込むと、船体が水を勢いよく切り、白い帯が後方へ続いているのが見える。遠方の大鳥居がだんだんと近づき、到着。あっという間だった。

約10分で到着した

 島内をうろうろしたが、感じたのは外国人観光客の多さ。感覚だが、全体の6割は海外からのお客ではないだろうか。宮島には「神の使い」とされる鹿が放し飼いされており、観光客は近づいてスマホを向けるなどしていた。

「神の使い」とされる鹿が放し飼いされている

 メーンイベントは何といっても、厳島神社社殿から約160mの海上に建てられている大鳥居まで歩くことだ。満ち潮の時は難しいが、訪れたのがちょうど引き潮の時間帯だったので、鳥居の近くまで近寄ることができた。

ちょうど引き潮の時間帯で大鳥居まで近寄ることができた

 そのほか、島内の栄えているエリアもひととおり巡り、大満足する。多くの人が歩いていて、以前来た時よりも活気が感じられてよかった。

観光客でにぎわっている

 時計を見ると午後4時半。次の予定を考えるともう島を出る必要がある。すぐにフェリーの発着場へと急ぎ、戻る準備をした。タイミングよく船がやって来たので乗り込み、再び、波に揺られた。

地元住民が通う精肉店直営の食堂「肉のますゐ」

 次に向かったのは広島市の繁華街。百貨店があり多くの人で賑わう八丁堀交差点から数分の場所に、お目当ての「肉のますゐ」はある。精肉店直営の食堂で、肉料理が有名な店。入り口にこれから店に入ろうとする年配男性の姿を目にし、私も彼らに続いた。

広島の中心部、八丁堀エリアにある精肉店直営の食堂「肉のますゐ」へ

 店内はほぼ満席に近かったが、運良くテーブル席に座ることができた。

 メニューを手に、何を食べるかを検討する。ひととおり見て、選んだのが「特ロース寿き焼き」(3200円:税込)、それに瓶ビールをつけた。

メニューを見て、「特ロース寿き焼き」(3200円)に決めた

 料理が届くあいだ周囲を観察すると、多様なお客が来ている。印象としては地元の方が中心で、家族連れやスーツ姿の会社員の姿が目立った。やはり地元に愛されている店は間違いない。それと何より昭和感満点の雰囲気がよい。

 しばらくして女性従業員が持ってきてくれたのが、牛肉、青ネギ、糸こんにゃく(しらたき)、豆腐などが盛られた皿。見ただけでおいしそうだとわかる。

牛肉、青ネギ、糸こんにゃく(しらたき)、豆腐などが盛られた皿

 従業員はすぐ店の奥に戻るのかと思っていたが、私の目の前ですき焼きを作り始めた。てっきり自分で調理するものと考えていたので意外だった。

従業員が調理してくれる

 牛脂を鍋に押し付け、ぐるぐると円を描くようになじませ、具材を次々と入れていく。手際よく、流れるような動作に惚れ惚れしていたところ、間もなく完成。「火が通ったら食べてください」と言い残し、従業員はテーブルを後にした。

牛肉を溶き卵につけ食べる。最高だ

 割り箸を手に、最初は牛肉。溶き卵につけていただくとこれが最高。続いて、ネギ、豆腐、時々、ビールを飲む。箸は止まらず、どんどん食べ進める。〆にうどんを追加注文して、フィニッシュした。これはウマイ。ごちそうさまでした。

 放心状態となり、天井を仰いで目を閉じる。幸せな時間だった。再度、メニューを見ると、精肉店だけにステーキやタンシチュー、ホルモン焼きなどもあり、しかもどの料理もリーズナブルだ。「また来よう」と心に決め、店を出た次第である。

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