このコーナーでたびたび登場するのがラーメン。京都はラーメン激戦区であり、話題に事欠かない。今回、取り上げるのは京都の人気チェーン「キラメキノトリ」だ。このほど吉野家ホールディングス(HD)が買収したことで脚光を浴びている。大手企業が目をつけたのはどのような味なのか。確認のため、本店に足を運んでみた。

吉野家HDの買収により注目を浴びる「キラメキノトリ」
牛丼で知られる吉野家ホールディングス(東京都:以下、吉野家HD)は近年、ラーメン事業を重要戦略と位置付け強化している。ファストフードや居酒屋と比べ、客数が安定しているのが魅力のようだ。確かに好きなラーメンは、“定期的に”“モーレツ”に食べたくなることを思えば、合点がいく。
同社は2016年、東京都内を中心に事業展開する「せたが屋」を買収、19年には「ばり嗎(ばりうま)」「とりの助」を展開するウィズリンク(広島県)を傘下に収めている。
24年5月には、ラーメン店向けに麺やスープなどを製造する宝産業(京都府)を子会社化。さらに同年12月にM&Aを発表したのが「キラメキノトリ」ブランドで店舗するキラメキノ未来(京都府)である。
キラメキノ未来の公式Webサイトを見ると、13年4月に1号店の「キラメキノトリ」をオープン。以来、年間1〜2店のペースで店舗数を拡大している。25年2月中旬現在、京都府のほか大阪府、滋賀県、奈良県に22店を運営している。正式に吉野家HDの連結子会社となったのは25年1月のことだ。
注目チェーンだけにぜひ食べてみたいと思い、足を運ぶことにした。実は私が事務所を構える烏丸エリアにも「キラメキノ青空 四条ムロマチ」がある。しかし、せっかくだから京都市上京区にある1号店に行きたいと思い、行動に移すことにした。
最寄りの「四条烏丸」停留所から京都市営バスに乗ること17分、「河原町丸太町」で下車した。時計を見ると12時半で、ランチタイム真っ只中である。ネットで調べると、昼時は混んでいるとの情報もあった。あまり並びたくない私は近くを散歩し、時間を外してから昼食をとることを思い立った。
河原町丸太町交差点から近い名所といえば「京都御苑」である。地元民にとっては親しみのある場所で、原則、誰でも無料で入ることができる。実は、中にグラウンドがあり、私も小学生の頃に野球をした思い出がある。
苑内は砂利が敷き詰められており、歩くとざくざくと音がする。靴が砂まみれになるのが難点だが、散歩していると心が落ち着く。気温もちょうどよく、約30分ほどあちこちをうろうろしていた。
そろそろいい時間だろうと思い、先ほどの河原町丸太町交差点に戻った。そこから北100mほど進んだところにあるのが「キラメキノトリ」である。外から覗き込むと、空席が確認できた。すぐに座れそうだ。私は高鳴る胸の鼓動を抑え、入店した。
ラーメン事業強化の吉野家HDが目をつけた味はいかに
店に入ると「いらっしゃいませ」と元気のよい声をかけられた。まず券売機の前に立ち、メニューを選んだ。この店の看板は「鶏白湯らーめん」と「台湾まぜそば」。バスの中で、ある程度のあたりをつけていたが、いざ決めるとなると心が揺らいだ。
結局、「鶏白湯らーめん味噌」の「キラメキスペシャル並1190円」を選択。お勘定コーナーに進むと、「ご一緒にいかが」みたいな感じで、サイドメニューを提案してきた。初めての店で緊張していた私は、思わず「キラメキの豚丼」のボタンを押してしまった。
案内されたカウンター席へ移動し、料理がやってくるのを待った。
店内を観察すると、カウンター8席、4人掛けテーブルが3台が設置されている。ランチタイムを外したためか、お客は7割程度の入りでちょうどいい感じだ。男女比は8:2で圧倒的に男性が多い。サラリーマン風、学生風のほか、やや年配のカップルも見られた。
6〜7分が経過し、最初にきたのが豚丼、しばらくして主役のラーメンが到着した。運んできてくれた若い男性スタッフに「写真を撮ってもいいですか?」と聞くと、「いいですよ」とのことだったので数枚撮る。
まずはラーメンのスープから。レンゲですくい、口へ持っていくとかなり濃厚な味わい。おぉ、これが吉野家HDが手に入れたかった味かと思いつつ、飲み込んだ。
続いて麺である。公式Webサイトによれば、「私達は国内産小麦の中でも3種類の北海道産小麦をオリジナルブレンド。3種類の小麦のそれぞれの特徴(風味・食感・喉越し)を生かした配合となっています」とあり、かなりのこだわりがあるようだ。
実際食べて見ると、しっかりとした食感でとてもおいしい。口コミサイトを見ても、麺を評価する声が多く、この店の大きな特徴となっているようだ。時々、豚丼、さらにテーブルにあった「カレーパウダー」でラーメンを味変しながら完食。ふーっ!おいしかった。私にとってはかなりのボリュームで、お腹がいっぱいになった。
大満足で店を出た。食事を思い出しながら、定期的に食べたくなるだろうなと思いながら、帰りのバスに乗っていた。