最大震度6強の揺れに襲われた石川県輪島市では、食品スーパーやドラッグストアが徐々に営業を再開し始めた。店の品ぞろえはまだ不十分ながら、食品や水を求める客で連日混み合っている。6日には各店の売り場で、商品を手に笑顔で会話する被災者らの姿が多く見られた。
食品スーパー「ワイプラザ輪島」は4日に営業を再開した。イートインスペースに売り場からかき集めた商品を並べ、食品は1品100円で販売している。レジが使えなくても計算しやすく、お釣りが出ないようにする工夫だ。口コミでうわさが広がり、初日は300~400人が列を作ったという。
5日からは隣接するホームセンターの商品も扱い始めた。6日午後に訪れた客の女性(69)は、レトルトカレーや菓子、高齢の母親のために、ちゃんちゃんこを購入。「炊き出しに行ってもいつも間に合わない。ありがたい」と話した。
4日に再開した「クスリのアオキ輪島店」では、レジに常時20人程度が並ぶ。ティッシュや飲料、レトルト食品などの棚はほぼ空に。品出しに追われる従業員は「一部の人にだけでも最低限のものを届けたい」と話す。コップや目薬を購入した男性(84)は「うれしい。買えて良かった」と笑顔を見せた。
ドラッグストア「ゲンキー河井店」も、天井がはがれ、商品が床一面に崩れ落ちたままで3日に営業を始めた。品ぞろえについて、店長は「徐々に納品が増えている」と語る。
一方、いまだ約1万2000人が避難生活を余儀なくされている輪島市内の避難所では、食品不足が解消されていない。避難所になっている輪島中学校で、市の担当者は「すぐに食べられるものが足りない。人数が多く全員に行き渡らない」とため息をついていた。