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被災企業、復旧作業に全力=コンビニ再開広がる―一部工場は稼働停止・能登半島地震

地震で倒壊したとみられる神社の鳥居
〔写真説明〕地震で倒壊したとみられる神社の鳥居=2日、石川県七尾市(時事通信社)

 能登半島地震で被害を受けた企業は4日、復旧作業や安全確認に全力を挙げた。コンビニエンスストアでは営業再開の動きが広がっているが、被災地ではなお停電や通信障害が続き、物流の乱れも収まっていない。一部の工場は稼働停止を余儀なくされており、企業活動への影響はいまだ全容が見えない状況だ。

 信越化学工業は、1日に停止した直江津工場(新潟県上越市)の操業を3日から一部再開した。半導体素材などを製造しており、安全を確認した設備から順次稼働させる。バス車両製造のジェイ・バス(石川県小松市)は、大きな被害がないため年始休暇明けの8日に稼働する見通し。コンビニの営業は、一時約150店舗に達したセブン―イレブンの休業店舗数が4日は2店舗に減るなど正常化が進む。 

 一方、道路寸断などの爪痕は大きい。ヤマト運輸は石川、富山両県の一部、佐川急便は石川県の一部でそれぞれ集配業務を停止。これらの地域宛ての荷物の預かりも全国で見合わせている。

 北陸電力は、他電力などの応援を含め900人体制で停電復旧に当たっているが、交通の制約で一部地域の作業が難航。石川県では4日夕、約3万戸の停電が続いた。携帯電話各社などの通信障害も解消せず、総務省によると船舶型の移動基地局の投入が進められているという。テレビやラジオは、石川県輪島市の複数の中継局で非常用電源が切れ、一部世帯でNHKなどの放送が停止した。

 通信事情の悪さは製造業の復旧にも影を落とす。半導体メーカーのサンケン電気は、石川県志賀町のグループ会社で従業員全員の安否確認が済んでいない。同社は現地に役員を派遣して情報収集を急いでいる。

 また、三菱ケミカルグループは樹脂などを製造する富山事業所(富山市)の稼働を1日から停止し、安全確認を進めている。他の製造業各社も設備の被害を精査し、復旧時期を判断する構えだ。

◇被災企業の状況

▽信越化学工業        新潟県上越市の工場が3日に一部操業再開
▽ジェイ・バス        石川県小松市の工場が8日稼働の見通し
▽サンケン電気        石川県志賀町のグループ会社で従業員の安否確認中
▽三菱ケミカルグループ    富山市の工場を1日から停止
▽北陸電力          4日夕に石川県の約3万戸が停電 ▽セブン―イレブン・ジャパン 被災地の休業店舗が2店舗まで減少