【ニューヨーク時事】米国では24日、大規模セールの幕開けとなる「ブラックフライデー」を迎え、年末商戦が本格的に始まった。小売り各社は衣料品などを手頃な価格で販売し、消費を活性化させたい考え。しかし、インフレ長期化で買い物客は財布のひもを締めており、業界では消費の先行きへの警戒感が広がっている。
祝日の感謝祭明けの金曜日は、「決算を黒字にする」との意味からブラックフライデーと呼ばれ、小売り各社がセールを開始するのが習わしだ。ニューヨーク中心部マンハッタンにある老舗百貨店メーシーズには午前6時の開店前に100人超が列をつくった。200ドル(約3万円)のバッグを購入した女性は「インフレなので支出は抑える」と語った。
全米小売業協会(NRF)によると、年末商戦期間を含む今年11~12月の小売売上高は前年同期比約4%増の9500億ドル(約142兆円)超と、過去最高を更新する見通し。ただ、政府の新型コロナウイルス支援策で家計が潤った過去3年と比べ、伸びは鈍る公算が大きい。
小売り大手は、消費動向が厳しさを増すとみる。大型スーパーのターゲットは「消費者は金利高や学生ローンの支払いに直面している」(幹部)と警戒。ウォルマートのマクミロン最高経営責任者(CEO)も「商品価格が低下し始めている」と指摘した。
10月の米小売売上高は前月比0.1%減と、7カ月ぶりにマイナスに転じた。国内総生産(GDP)の7割を占める個人消費の減速は経済にはマイナスだが、連邦準備制度理事会(FRB)による利上げ局面を収束させる可能性はある。