財務省は28日、8月の貿易統計について品目別の詳細な値を含む確報値を公表した。中国による日本産水産物の全面禁輸を背景に、中国向け魚介類(缶詰などの調製品を含む)の輸出は金額ベースで前年同月比70.8%の減少。水産物輸出の主力であるホタテなどの落ち込みが目立った。
調製品を含むホタテの輸出は71.3%減。ホタテは日本の水産物輸出全体に占める割合が最も多く、そのうち中国向けは約半分を占める。中国向け食料品の輸出額は全体で43%減となっており、ホタテなど水産物のマイナスが大きく影響した格好だ。
同じく輸入規制が強化された香港向けは、魚介類全体で11%減となった。香港は水産物の輸出先としては中国に次ぐ大きな割合を占める。
日本産水産物の輸入の全面停止は、東京電力福島第1原発の処理水放出を受け、中国の税関当局が8月24日に発表した。8月分は禁輸の影響の一部を反映したに過ぎず、9月の実績はさらなる悪化が予想される。