卵の店頭価格が高止まりしている。餌代の高騰に鳥インフルエンザの流行が重なり、卸値が「近年まれにみる高水準」(卸売業者)となっているためだ。加工用の不足も生じ始めたとみられ、卵を使った食品の出荷が滞る可能性もある。「物価の優等生」と呼ぶのは難しい状況で、家計のやり繰りも一段と厳しさを増しそうだ。
中堅食品スーパー「アキダイ関町本店」(東京都練馬区)では11日、Mサイズの卵10個1パックが税別206円で売られていた。年末年始から需要が一気に落ち込む1月は、例年卸値が下落し、店頭価格も100円台前半に落ち着く。しかし、今年は様相が異なり、秋葉弘道社長は「卸値が下がらない。店頭価格は(250円程度だった)年末の高値を超えるかも」と頭を抱える。
幼い子供を連れて買い物に来た30代女性は、「卵は必需品。他を切り詰めるしかない」と話した。秋葉社長によると、1パックが88円となる特売日には、開店前に約200人が列をなすという。
国内年間生産量の1割の鶏卵を使うキユーピーは、2021年以降マヨネーズを3回値上げしたが、今回の鶏卵価格上昇は反映していない。加工用卵が不足する気配を見せていることも懸念材料で、「一部商品の供給を制限することも今後検討する」(広報担当)方針。ある菓子メーカーも、「さらなる値上げだけでなく、供給制限の可能性もある」としている。
メニューを値上げしないと宣言するサイゼリヤの松谷秀治社長は、「(卵の値上がりは)原価に影響する。卵をあまり使わないメニュー構成にすることなどが考えられる」と、対応に知恵を絞っている。