米アマゾン(Amazon.com)は9月28日、米国内の物流施設で働く従業員の平均初任給を時給19ドル(約2740円)以上に引き上げると発表した。これにより、人件費は年間で10億ドル増加する見込み。
従来の平均初任給は18ドルだった。給与は役職や働く地域によって異なり、初任給は時給16〜26ドルの範囲になる。アマゾンが賃金相場に与える影響は大きく、今後、他の大手小売業や物流企業も時給引き上げに動く可能性がある。
アマゾンは、給与を好きな時に受け取れる「エニタイム・ペイ(Anytime Pay)」の制度を全従業員が利用できるようにすることも明らかにした。従業員の多くは毎月1〜2回、定期的に給与を支給されているが、今後は給与の最大70%を好きな時に受け取れる。
また、クラウドサービスのAWS部門のデータセンターで働くエンジニアを対象とした新たなキャリア開発プログラム「アマゾン・インテリジェンス・イニシアティブ(Amazon Intelligence Initiative)」もスタートさせる。12〜14カ月の開発プログラムで技術力を高めた後、トップエンジニアのもとで実務経験を積みながら、複数の職務経験を積む。
アマゾンでは2025年までに30万人の従業員にキャリアアップの機会を提供すると公約している。10年目を迎えた教育給付制度「キャリア・チョイス(Career Choice)」では、大学での学士号取得、公的資格の取得、英語力向上、高校修了などに対して授業料を給付する。現在、260以上の教育機関が同制度の対象となっている。
このほか、確定拠出年金の掛金の半額負担、健康保険、最大20週の有給休暇などを含めて、2022年の福利厚生費用は100億ドル近くに達するという。