内閣府が11日発表した3月の景気動向指数(2015年=100)速報値は、景気の現状を示す一致指数が前月比0.2ポイント上昇の97.0となり、2カ月連続で改善した。新型コロナウイルス感染者数が減少に転じ、小売業の販売額の持ち直しが寄与した。
基調判断は景気が拡大局面にある可能性が高いとする「改善」に据え置いた。2月の判断は速報値段階では「足踏み」だった。しかし、鉱工業生産指数が年間補正で上振れたため、景気動向指数の改定値では一致指数がマイナスからプラスに転換し、判断も「改善」に上方修正されていた。
3月の一致指数は、速報値の段階で反映させた8系列の経済指標のうち、6系列がプラスに寄与。3月21日の期限をもって「まん延防止等重点措置」が全面解除され、百貨店や家電量販店などへの客足が戻った。半導体製造装置や建機の出荷増も寄与した。
ただ、ウクライナ危機が拍車を掛ける資源高など先行きの不透明感が強く、第一生命経済研究所の新家義貴シニアエグゼクティブエコノミストは「景気回復のペースは極めて緩慢だ」と指摘している。
数カ月先の景気を示す先行指数は0.9ポイント上昇の101.0で、3カ月ぶりの改善だった。