[ベルリン 7日 ロイター] – 新型コロナウイルスの危機のさなか、衣料業界では一部の店舗が再開し始めたものの消費者は依然として外出を控えており、オンライン通販を手掛ける企業が「勝ち組」となっている。
欧州最大の衣料オンライン通販ザランドは通期の売り上げが10ー20%増加する見通しを示し、株価が最高値を付けた。RBCのアナリスト、シェリー・マーレック氏は、ザランドの4月の新規顧客が39%増えたとし、「消費者がますますオフラインからオンラインに移行している証拠」と述べた。
対象的に、世界2位の衣料小売りであるスウェーデンのH&Mは、3月1日から5月6日までの売り上げ(現地通貨ベース)が前年同期と比べ57%減少。一方、オンライン通販の売り上げは3分の1近く増加した。H&Mは4月下旬から徐々に店舗を再開したが、なお6割に当たる3050店舗が閉まったままだ。最大市場のドイツではここ数週間、封鎖措置が段階的に緩和されているが、第2・四半期の販売は今のところ前年同期比46%減、中国では3分の1減少した。H&Mは7日、この日の年次総会を前に公表した声明で「経済を再開し始めた市場での販売は今のところ抑制されたままだ」とした。
コンサルティング会社マッキンゼーが4月30日から5月3日に実施したドイツの調査によると、回答者の半分以上が生活必需品以外の買い物をしていない。小売店は再開しているものの、大半の消費者がリスクを最小限に抑えようとしている。回答者の41%が、スーパーマーケット以外の買い物を控える意向で、半分以上の回答者が経済に対する不安を示した。
高級品もネット加速
コンサルティング会社ベイン・アンド・カンパニーが7日に公表した調査によると、一部の国が封鎖措置を解除しているほか中国市場が持ち直している兆しがある中でも、世界での高級品の販売は第2・四半期に50ー60%落ち込む見込みだ。ただ、高級品のオンライン通販は底堅さを保つとした。新型ウイルスの危機を受け、オンライン通販が加速し、高級品のオンライン販売は2019年の12%から2025年までに30%に達するとの見通しを示した。
独スポーツ用品大手プーマは、多くの店舗が営業停止中で、第2・四半期の業績が前期から悪化するとの見通しを示す一方、コロナ危機を契機に運動する人が増えており、売り上げが回復すると楽観視していると述べた。グルデン最高経営責任者(CEO)は、中国では危機前に比べて顧客が減ったが、買い物に来る客の単価は増えたと述べた。
ドイツのファッションブランド、ヒューゴ・ボスも同様の傾向を明かし、依然として買い物客は少ないものの、普段より支出額は多いと述べた。
ベインによると、中国の来店者数は前年から半分近くに減った一方で買い物意欲は増しており、平均支出も増えた。
ヒューゴ・ボスはオンラインの売り上げが第1・四半期に39%増え、全体の売り上げの11%を占めた。4月は一段と伸びたという。プーマはオンラインの売り上げが第1・四半期に40%増え、4月は77%増加した。