ECシフトが加速するなか、盗品の売買やボット(自動化されたタスクを処理するソフトウエア)を使った買い占めなど、消費者や小売業者がさまざまなリスクに直面する機会も増えている。これらを取り締まるため、昨年末、マーケットプレイスの運営に影響し得る2つの法案「INFORM法」と「グリンチボット停止法」が米議会に提出され、大手チェーンストアも通過に向けた支援に乗り出している。
組織的強盗が増加、盗品も“ECシフト”
全米小売業協会(NRF)が発行した「2021 小売業界セキュリティ調査」によると、小売業者の69.4%が過去数年で犯罪被害が増加したと回答している。最近増えているのが大人数で店舗を襲う組織的強盗で、2021年10月以降、サンフランシスコやシカゴ周辺で大規模な強盗事件が連続的に発生し、ルイ・ヴィトン、バーバリー、ブルーミングデールズ、ウォルグリーンズ、ルルレモンなどさまざまな業種のチェーンが被害を受けた。犯罪グループは最大80人にも及び、店舗の外には逃走用に約25台ものクルマが待機していたこともあったという。
小売事業者経営者協会(RILA)によると19年の組織的犯罪による被害総額は689億ドルに上ったとされる。ただ、盗品をかつてのように路上や質屋で販売するのが難しくなり、アマゾン(Amazon.com)やe ベイ(eBay)などのマーケットプレイスに流れているのが実情だ。
規制法案には賛否分かれる
そうしたなかで今回議会に提出されたのが、「INFORM法(オンライン小売マーケットプレイスにおける誠実、告知、公正を求める消費者法)」だ。これは、ECサイト上の盗品や偽造品の販売を防ぐため、セラー(出品者)の情報開示を義務づけるというのが主旨である。
同法では、マーケットプレイスの運営業者は12カ月間に最低でも
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