6月29日、ファミリーマート(東京都/澤田貴司社長)とドン・キホーテ(東京都/大原孝治社長)による共同実験店舗第3号店、「ファミリーマート世田谷鎌田三丁目店」が東京都世田谷区にオープンした。
灼熱の日差しの中、店頭で開かれた囲み取材で、ドン・キホーテ執行役員の坂元康之氏はこう力を込めた。
同店は、95年に開業したファミリーマートの店を改装したもの。天井近くまで迫る大型什器に圧縮陳列、激安PB「情熱価格」の商品展開など、ドンキ流の売場づくりやMDのエッセンスが随所に散りばめられている。
また、先行開業した2店舗でとくに販売好調なスマホ関連用品をはじめとする日用品、靴下や下着などの衣料品の売場スペースを広く確保しているのも特徴だ。
その一方で、11席あったイートインスペースをすべて撤去。さらにコンビニでおなじみの窓際の雑誌売場は大幅に縮小し、売れ筋のみに絞ってレジ前の小さな棚で展開するというかたちをとった。これによって生まれたスペースはすべて、日用品売場に置き換わっている。
坂元氏が言うように、いよいよ飽和状態を迎えているコンビニ業界で、他社のモノマネに終始していては勝ち残ることはできない。そうしたなかで、ファミマとドンキは共同実験店舗を通じて、“コンビニの常識”にとらわれない店づくりに挑んでいるわけだ。
総合スーパーの再生を担ってきたドンキが、コンビニ業界にも革新をもたらすかもしれない――。
坂元氏が汗を拭いながら記者の質問に熱心に答える様子を見て、そんな予感がした。
なお、世田谷鎌田三丁目店を最後に、当面は共同実験店舗の出店予定はない。利用動向を見極めたうえで、多店舗展開の可能性を探る考えだ。(y)