ロボティクスをコア技術に、日本の小売業に最適化されたフルフィルメントテクノロジーを提供するROMS(ロムス:東京都/前野洋介社長)。日本の小売業の実情に合わせたネットスーパー向けのナノ・フルフィルメント・センター(NFC、マイクロ・フルフィルメント・センター〈MFC〉よりも小型のセンター)のシステムと仕組みを取材した。
日本のSMの実情に合ったNFCを志向
ROMSは、自動化、ロボティクスをコア技術に、超小型無人店舗「RCS(ロボティクス・コンビニエンス・ストア)」や日本のネットスーパー向けのNFCなど、小売業向けのソリューションを開発するスタートアップ企業である。
それらコア技術に加え、日本の小売業に最適なサイズのフルフィルメントシステムを、各社の実情や目的、物件の広さ、出荷頻度や出荷商品の温度帯分布などの各種データを鑑みて、最適なNFCをセミオーダーで提供するのがROMSの強みだ。
欧米でも、延べ床面積1 万坪以上のカスタマー・フルフィルメント・センター(CFC)ではなく、コンパクトな店舗併設型のMFCを導入する動きが加速している。だが「コンパクト」といっても、米国のMFCは1000㎡以上ある。
「日本の食品スーパー(SM)にとって、1000㎡以上のMFCは大きすぎてスペースを確保しにくいうえ、投資負担も重い。そのうえ、日本の店舗は天井高が低い物件もあるため、定型サイズのセンターは既存施設内に導入しにくい。その点、ROMSはモジュール単位でNFCシステムを柔軟に構築できる」
ROMS経営戦略室長の阿部翔太郎氏は、このように日本のMFCを取り巻く課題とROMSの優位性について語る。
同社は2020年10月、小型のNFCおよびRCSのモデル店舗として、約10坪の大きさの24時間営業無人店舗「MOPU」(東京都)をオープン(現在は閉店)し、1年間の実証実験を行った。
コンビニエンスストア(CVS)の商品をベースに約450品目を品揃え。ユーザーがROMSのモバイルアプリもしくは店内のキオスク端末で注文すると、NFC内のロボットが商品をピッキングし、店内の受け取り口へと自動で搬出する仕組みだ。その場での購入のほか、事前注文した商品を店舗で受け取るBOPIS(オンライン購入、店頭受け取り)にも対応する。
その知見も生かしながら、東京都大田区平和島で稼働開始したのが、作業スペースを含めて約300㎡の広さのNFC(以下、平和島NFC)である。実際のNFC部分は標準モデルで横7m、奥行き15m、高さ4.5mで、約100㎡とコンパクトだ。
全商品を常時NFCで扱う合理性はあるか?
平和島NFCでは倉庫内の保管スペースとして標準で
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