筆者の知人が以前、「小売のPOSを使えば大概のことはできる」と豪語していました。少し大げさではありますが、今回はPOSを使って「機会損失」の分析ができる、というテーマでお話ししたいと思います。実際、機会損失は、小売チェーンのPOSデータを活用すれば、算出が可能です。それにより、売上改善にも直接寄与できるため、とても有益な分析です。
しかし、機会損失の分析は、海外では多くの小売企業が取り組んで改善につなげている一方、日本では欠品率の分析は一般的な反面、機会損失分析はあまりされていません。
機会損失とは、「来店客が購入しようとしているのに、店頭に商品がないために購入できないことによって起こる」ものです。せっかく購入しようと思っても買えないわけですから、顧客満足にも影響しますし、お店としては売上の機会を逸することもあり、大変もったいない話です。
機会損失は「品切れ」だけが理由ではない
よく誤解されるのですが、機会損失とはいわゆる「品切れ(在庫切れ)」、つまり卸やメーカーの納品が遅れて店舗の在庫がなくなることだけで発生するわけではありません。筆者が以前勤務していた会社で分析していた数多くのケースを見ると、機会損失の7~8割は店頭の棚に商品がないことで発生していました。この場合、その商品の在庫はお店のバックヤードにあるため、棚をこまめに見ていれば防げるとも考えられます。
一方、小売の発注遅れや卸やメーカー側の納品遅れで起こる品切れ(在庫切れ)による機会損失は、2割から多くて3割程度でした。日本では配送のきめ細かさのレベルが高いこともあり、納品や発注の遅れによるものは少ないと考えられるので、品切れよりも「棚起因の機会損失」が多いと考えられます。そのほか、マイナーケースではあるものの、商品の価格表示が違うところにあるなどの「棚の不備」によっても機会損失が起こることがあります。
さて、機会損失は実際どれくらいあるのでしょうか。
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