オンライン・店頭の双方で拡大! ハイヴィーのリテールメディア戦略

取材・文:鈴木 敏仁
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ハイヴィーが新たな施策にチャレンジし続ける社風を有することは冒頭で述べたとおりだが、目下その核と言える取り組みになっているのが、リテールメディア事業だ。

2023年後半から本腰を入れ始め、デジタル(オンライン)からインストアへとその領域を広げつつある。

自社プラットフォーム「レッドメディア」を立ち上げ

 リテールメディアにはデジタルとインストアの2つあるが、アメリカはデジタルが中心で、理由の大半はアマゾンが大成功して道をつくり、みんなでその後を追っているからである。ウェブサイトの集客力があれば、それをテコにして広告を事業化できることをアマゾンが証明した。

 一方のインストアにはもともと従来型のアナログ販促が存在し、これをどうデジタルに置き換えるのか、または何らかの新たなデジタル販促を加えることができるのか、あるいはデジタル上のようなメジャラブル(効果の計測可能)な販促にすることができるのか等々、課題が山積している。

レジに面したトップエンド
レジに面したトップエンドはすべて吊り下げ型でサイズの大きな端末を導入。重要な販促ポイントなので端末サイズも大きくしているものと推測

 調査分析企業のeMarketerによると、2024年3月の時点でのインストア・リテールメディア市場は10億ドルを超えたが、デジタルも含めた総市場のわずか0.7%で、そしてこれから市場は成長するが少なくとも28年までは1%を超えることはないと予測している。

 このことは、現状では投資対象としてデジタルのほうが優れていることを意味している。

 こういった環境下で、ハイヴィーがリテールメディアに本腰を入れ始めたのは2023年後半のことである。名称は「レッドメディア」、自社プラットフォームと自社データをベースとした広告販売で、中心はウェブやSNSを中心としたデジタル広告だが、その時点でインストアのデジタルディスプレーを増やすと公言していた。

サムスンと提携し店頭端末1万台を導入

 その1カ月後に発表されたのが、サムスンと提携して

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取材・文

在米40年、現在はロサンゼルス在住。小売業界ジャーナリスト。年間訪問店数はのべ600店舗超、現場検証に基づいた分析をモットーとする。

著書

『ソリューションを売れ!』(ニューフォーマット研究所)
『誰も書かなかったウォルマートの流通革命』(商業界)
『アマゾンVSウォルマート ネットの巨人とリアルの王者が描く小売の未来』(ダイヤモンド社)

 

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