青果流通サプライチェーンの変革に挑む! ある地方卸売市場の挑戦
1日の半分を占めていた荷電の時間が大幅削減!

出荷情報は卸売事業者にとって命綱となるので、ぜひ入手したい。一方で、社員の電話対応の負担もなんとかしたい――そんな悩みを抱えていた市川氏が出合ったのが、農家と市場・青果卸を対象とした業務改善アプリ「フードループ」だ。
フードループの機能はいたってシンプルだ。農家からの出荷予定情報やメッセージをスマートフォンで収集・管理。これまで電話で聞き出し、紙で管理していた数字ややり取りの記録を、アプリに置き換えデータ化するものだ。
その仕組み自体に特段の目新しさはないかもしれない。だが、その導入効果はすぐに表われた。
まず、直接的な効果として、1日の半分の時間を割かれていた荷電業務が激減。業務の大幅な効率化を実現した。「生み出された時間を新規顧客の開拓などの商談に充てられるようになり、残業時間もかなり削減された。また、窓口が一つに集約されたことで情報管理がしやすくなった」(市川氏)
一方、取引のある生産者側にとっても、フードループ上に蓄積される日々の出荷量や販売金額に関するデータが役に立っているという。
農家の多くは、昨年との出荷量や販売金額と比較しながら今年の青果物の生産状況を確認・評価している。その出荷量などの情報がデータ化され、スマートフォンで見られることで「振り返りがしやすくなり助かっている」「当日の相場感覚を早く知ることができるのがありがたい」との声が市川氏のもとにも寄せられているという。
また、あるナス農家の中には「市況を見て単価を計算し、どのサイズが有利かを考えながら収穫時期を判断して出荷できる」といったフードループの活用例も出てきている。