グローバルリテーラーが実践する DX実現のための3つの共通項とは

解説・文:福田稔
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OMOによる顧客体験向上の重要性

 昨年春より全10回にわたりお送りしてきた本連載「グローバルリテーラーのDX最前線」も今回で最終回を迎えた。

 振り返ると、ラザダ、ターゲット、ウォルマート、ファーストリテイリング、アディダス、フーマー(アリババ)、ナイキ、カルフール、セフォラという名だたる企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)の取り組みについて考察してきた。筆者としてもそれらをあらためて分析してみた結果、複数のグローバルリテーラーが共通して取り組んでいる重要テーマが見えてきた。そこで今回は最終回のまとめとして、グローバルリテーラーが共通して取り組んでいる3つのDXテーマについて解説したい。

 まず1つ目は、OMO(オンラインとオフラインの融合)による顧客体験向上である。

ウォルマートのカーブサイドピックアップの様子
ウォルマートのカーブサイドピックアップの様子(写真:Walmart)

 グローバルリテーラーは、オンラインとリアル店舗での体験を効果的に結び付け、顧客体験向上に注力している。たとえば、米ターゲットはデジタルチャネルサービスとして、当日配送サービス、店舗受け取りサービス、店舗駐車場などに止めたクルマの中で商品を受け取れる「Drive Up」の3つを提供しているが、うち2つは店舗そのものを有効活用したサービスだ。

 なかでも、2018年から本格導入された「Drive Up」はターゲットにとって、デジタルチャネル成長のカギとなっている。「Drive Up」は実店舗の指定された場所にクルマを止めておけば、ターゲットのスタッフがあらかじめ注文しておいた商品をその場まで持ってきてくれる、いわばドライブスルーのようなサービスだ。「Drive Up」の売上高は19年から20年の間に600%超、20~21年にはさらに70%超の成長を見せている。

 仏カルフールでは、デジタルを通じた伝統的小売の抜本的改革を掲げており、デジタル化によるパーソナライゼーション強化とOMOによる顧客体験改善に取り組んでいる。OMOの一環として、ターゲットと同様にオンライン注文して商品を店舗の駐車場や小型店舗で受け取るBOPIS(BuyOnline Pick-up In Store)を積極的に強化している。

 また、デジタル化の象徴的な取り組みとして、

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