レジレス型コンビニも始動!カルフールのデジタル・リテール戦略とは

解説・文:ローランド・ベルガー/パートナー:福田稔、ローランド・ベルガー シニアプロジェクトマネージャー:染谷将人
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デジタル・データを事業モデルの中核に

 グローバル展開する大手小売業の中で、フランスのカルフール(Carrefour)は従来、小売世界最大手の米ウォルマート(Walmart)などと比べると、必ずしもデジタル分野の取り組みで先行する存在とはいえなかった。しかし近年では、デジタルを戦略の本丸に据える姿勢を色濃くしており、EC化の加速を含め、多方面で顧客接点強化・収益源の拡大・オペレーション改善を企図したDX(デジタルトランスフォーメーション)を加速している。本稿では、デジタル先進企業へと変革をめざす同社の取り組みを具体的に見ていきたい。

 カルフールは、2018年11月に公表した中期経営計画「Carrefour 2022」の中で、オムニチャネル化を重点分野の1つと位置づけ、オンラインで注文した商品を店舗の駐車場や小型店舗で受け取るBOPIS(Buy Online Pickup In Store)の強化などを図ってきた。

 直近では、デジタル領域の取り組みをさらに加速させ、21年11月、「デジタル・リテール戦略」を発表。「“EC機能を有する伝統的小売業”から脱却し、あらゆるオペレーションや価値創造モデルの中核にデジタルとデータを位置づける『デジタル・リテール企業』への変革をめざす」と謳っている。定量目標として「26年までに、EC事業の流通取引総額(GMV:Gross MerchandiseValue)を21年の3倍に相当する100億ユーロ」「デジタルによる営業利益貢献を26年に対21年比で6億ユーロ増」を標榜。その実現のために「22~26年に総額30億ユーロを投資し、デジタル分野を強化する」とする野心的な計画を示している。

デジタル・リテール戦略、4つの骨子

 カルフールによるデジタル・リテール戦略の骨子となる分野は4つある。

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