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「リテールメディアは広告事業ではない」とフェズが考える理由とは

DCS2/1号 特集(大)

リテールメディア事業を展開するフェズ(東京都/伊丹順平社長)。独自のリテールデータプラットフォーム「Urumo(ウルモ)」を事業基盤に、広告の効果検証や顧客像の可視化などを支援する企業だ。昨年10月には合弁会社から独自の小型デジタルサイネージの販売を開始し、同領域においてもメーカー、小売側に新たなソリューションを提供している。

「突き出し型サイネージ」を定番棚向けに開発

 2023年10月、フェズと広告テクノロジー開発企業のフリークアウト・ホールディングス(東京都)の合弁会社ストアギーク(同)は、独自開発のリテールメディアサービス「ストアギークサイネージ」の提供を開始した。

 その名のとおりデジタルサイネージの一種だが、そのサイズは縦約40㎝×横約10㎝と、非常にコンパクトなのが特徴だ。商品棚(ゴンドラ)に突き出すかたちで設置するユニークな設計になっており、わかりやすくいえば、既存の紙製の突き出しPOPをサイネージ化したものとも表現できる媒体だ。

 そのため、小売店側にとってはPOPの管理や交換作業が不要になるという大きなメリットがある。また、配信するコンテンツは柔軟に変更できるため、きめ細かい販促活動を行うことができる。

左から、ストアギーク取締役の安藤尚人氏、フェズ執行役員リテールメディア事業本部長の田中友幸氏

 ストアギーク取締役の安藤尚人氏は開発の経緯について次のように説明する。「小売店の売上の約7割は定番棚から生まれる。しかしそのために、フェースをつぶしてまでデジタルサイネージを設置することはできない。フェース確保とサイネージ販促の両方を実現できるものとして、視認性の高い突き出し型のサイネージを採用した」ストアギークサイネージの展開にあたっては、リリースの1年ほど前から複数のドラッグストア(DgS)の店舗でPoC(概念実証)を実施。その結果、対象カテゴリー全体で10%、サイネージで訴求した商品について20%前後の購買率上昇が

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