セブン‐イレブンの真のデータ民主化生成AI基盤「AIライブラリー」とは?
国内で2万1000店舗以上を展開し、日々2000万人が利用する「セブン‐イレブン」は、データドリブンをDNAとしてきた。3月13日に開催されたGoogle Cloud主催「AI Agent Summit ’25 Spring」で、セブン&アイ・ホールディングス(東京都/井阪隆一社長)執行役員 最高情報責任者(CIO)兼 グループ DX本部長の西村出氏が、同社の生成AI基盤「セブン‐イレブン AIライブラリー」を活用した「真のデータ民主化」について語った。(文中の所属・肩書等は3月13日時点のものです。)
データドリブンがDNA
セブン‐イレブン・ジャパン( 東京都/ 永松文彦社長:以下、セブン‐イレブン)は創業以来、「データに基づく意思決定」が根幹にある。西村氏によれば、毎朝、社長から現場の店舗経営相談員まで、全員が同じシステムで全店舗の売上データを確認し、各自の業務に生かすルーティンが数十年にわたって続いている。これが同社の競争力を支えてきた。

こうした背景から生まれたのが、リアルタイム在庫を実現するデータ基盤「セブンセントラル」だ。これまで早くて翌朝にしか手に入らなかった全国の店舗データが、GoogleCloudノSpannerやBigQueryを駆使して集約・分析することで、最速1分で取得できるようになった。これは業界で類を見ないスピードだという。
この基盤の用途は多岐にわたる。自然災害時に被災地店舗の在庫状況をリアルタイムで把握する「守りのデータ活用」、セブン‐イレブンの商品デリバリーサービス「7NOW」での在庫確認による「攻めのデータ活用」、さらには広告効果の即時検証など、あらゆるシーンで活用されている。
しかし、「これだけのデータ基盤を構築しても、それを直接活用できるのはシステム部門や一部のデータアナリストだけだった」と西村氏は語る。多くの社員はデータを活用したいとき、システム部門に依頼する面が多く、ビジネスのスピード感や分析の自由度に大きな制約があった。
「私たちは真のデータの民主化には至っていなかった」と西村氏は振り返る。全社員がデータを自由自在に使いこなすにはリスキリングが必要だが、そのハードルは高く、時間もかかる。課題解決の突破口となったのが、生成AIだった。









