会員の購買、行動を可視化するファミリーマートのデータ革命 顧客起点のデータ活用で新たなコンビニモデルを創造

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会員の購買、行動を可視化するファミリーマートのデータ革命 顧客起点のデータ活用で新たなコンビニモデルを創造
井上 博之 氏

株式会社ファミリーマート新規事業開発本部 執行役員
株式会社データ・ワン取締役COO
井上 博之 氏

 

CRM促進を目的にTポイントを導入

データ活用の最大の目的は、個々のお客様に合ったサービスの提供である。ファミリーマートでは、データ化のステップ1として購買データ活用のため1989年にPOSシステムを導入した。これで単品販売の可視化はできたが、購買履歴は過去データであり将来予測はしにくい。さらに個々のお客様に寄り添った活動をしたいと、ステップ2としてCRM戦略の促進を図り、まずフェーズ1として2007年に会員制度を導入した。

CRMの促進では、会員数を増やさなければ収集したデータの精度を上げられない。そこで、デジタル化のフェーズ2は会員数拡大を目指した。そのため既存の共通ポイントの導入を検討し、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)のTポイントとの協業を決めた。Tポイント導入のメリットは、会員数が非常に多く、他社との共通ポイントなのであらゆる場所で使用可能ということ。ただ、既存のTポイントカードではなく、そこは粘り強く交渉してファミマ独自のTポイントカード発行に漕ぎつけた。店舗集客の拡大やロイヤルカスタマー育成に役立つと考えたからだ。

POSレジ導入・共通ポイントカード導入のフェーズ
POSレジ導入・共通ポイントカード導入のフェーズ
POSレジ導入・共通ポイントカード導入のフェーズ
POSレジ導入・共通ポイントカード導入のフェーズ

TポイントとPOSの連携でID-POS構築

2014年にはフェーズ3として、TポイントとPOSを連携し、最小コストでID-POSを実現した。これにより個人(個人を特定しない)の属性データと購買データを元に1to1マーケティングが可能になった。POS単体では「誰が」「何を買ったか」の連動がなかった。 これを実現させるため、Tポイントカードを導入し会員数拡大とID-POS開発を目指すことになった。

上記でID-POSを手にしたことでリピート集客や新商品セールスなど個へのアプローチを展開しただけでなく、共通ポイントを生かして他の加盟企業と連携した相互送客も可能になった。さらに店内POPを増やし来店顧客全員に追加購入や次回来店時の購入の訴求。クーポン発行による購入率の高い層への個別訴求なども行っている。

またID-POSを活用し対象商品購入者の会員さまに会員アンケートを実施しお客様の定量的・定性的なニーズを聞き出し、商品開発に生かす体制も構築した。これには定量的なデータの結果に隠されたお客様の真意を探る目的や定量データの結果だけでなく、そこに行きついたお客様の心理を定性的に分析することが重要と考えた。

データ自由度向上と顧客接点最大化で新事業

2つのデジタル新規事業
2つのデジタル新規事業

これらCRM施策で、来店されたお客様へのアプローチは効果が出てきた。さらに来店されていないお客様へのアプローチを狙った施策をステップ4として2019年から展開している。ステップ4のフェーズ5では自社でコントロールできるようにデータ自由度の向上施策を開始し、さらにフェーズ6では顧客接点の最大化を狙った。フェーズ5として実施したのが19年7月投入のスマホアプリ「ファミペイ」であり、フェーズ6の戦略はデジタル広告配信会社のデータ・ワン設立だ。

合言葉は「ファミペイ一発」。商品を購入するためのバーコード決済から電子クーポン発行、ポイント割引も一発で完了する仕組みとした。重要なのはUX/UIの開発。開発側主導ではなく、店舗の現場やお客様の評価が重要になる。トライアルではそこで失敗した。お客様が便利さを感じて使いづづけてくれること、店舗での訴求でダウンロード数が増える。ポイントについてもTポイントだけでなくNTTドコモのdポイント、楽天ポイントとの連携も行いお客様の自由度を高めた。

デジタル広告配信のデータ・ワンは、NTTドコモ、サイバーエージェント、伊藤忠商事と共同出資で設立した。ファミリーマートをご利用いただくお客さまの購買データとポイント会員5000万人のデータを突合して、twitterやYouTube、facebookといった外部プラットフォームでの「個客」に向けた広告配信やデータ・ワンDSPによる配信を行い、ターゲットの視聴率を押し上げるために、この視聴の高いメディア媒体に集中的に広告を掲出することで効率化を図り、最小コストで最大のリーチや実購買を促進する。

個々のお客様に合った情報や施策を提供することでサービス向上やID-POSの実績を生かして、例えば年齢層などでターゲットを特定し、さらに会員以外のターゲットに向けて最適なメディアとタイミングでの広告配信を行う。

様々なメディアで展開し、どの広告がもっとも購買につながったかという実購買データによる可視化を行い、メーカー・クライアントの商品開発・マーケティング施策の効果検証にもつなげている。

※こちらの抄録は2021年9月28日開催「DCSオンラインカンファレンス」の講演内容をまとめたものです。

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