生活者の意識変容に合わせたマーケティングの実現
業種の垣根を越えたデータ分析
──御社ではどのようにDXに取り組んでいますか。
小林 カゴメでは早い段階からZ-MOT(来店前の下調べで起きる意思決定の決定的瞬間)を意識したマーケティング戦略を推進してきました。生活者の関心毎が今どこにあるのかを分析し、どのような情報を発信すると購入率が変わるのかを検証していきたいと思っています。また、小売業様のもつアプリ会員と紐づけして、継続購買がされているのか、という、従来D2Cでしかできなかった顧客分析ができるようにしたいと思います。野菜の摂取を促進し、お客様がカゴメ商品を買い続けることで健康になっていくモデルを構築したいという思いをDX推進によって具現化していきます。
──「アフターコロナ」時代に向けての新たな取り組みはありますか。
小林 D&Sソリューションズ(東京都/中村洋幸社長)の「情報卸」を活用し、より確度の高いOne to Oneマーケティングの実現に挑戦します。これまでのデータ分析では購入者の属性やトライアル率は分析できているものの、どのようなライフスタイルの中で購入されているのか、わかっていません。
情報卸では小売企業との共同取組の承認の上でID-POSをもとにライフスタイルに基づいたクラスター分類や、店頭・SNSの情報発信に誰が反応したのかといった分析ができ、メーカーと小売の間に、情報プラットフォームを構築できると期待しています。
たとえば、これまで生鮮食品と加工食品を組み合わせた消費行動の分析はほとんどできていませんでした。野菜をたくさん買い野菜ジュースも摂取する人、野菜を摂らないかわりに野菜ジュースを飲む人、のような消費行動のパターンを分析したいと思っています。
──21年4月開始の「実践リテールDX研究会」にも参加されます。
小林 今まで製・配・販の取り組みは、サプライチェーンの効率化を主軸に進められてきました。食品ロス撲滅やロジスティックス効率化はまだまだ改善すべき課題も多いのですが、一方で品揃えや物量を規定するマーケティング手法を改善していくことも1つのアプローチかと思います。多くの小売、卸、メーカー担当者が一堂に会し、共同研究を行い、ナレッジを共有することで、業界全体の社会への貢献の方法を探りたいと思います。
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