EC基幹システムをクラウドへ全面移行 スクロールの描くECの未来と基本戦略

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ICT戦略のカギは“ICT4ヶ条”と将来を見通す高い目線

 こうしたスクロールのICT戦略を推し進めているのが、取締役執行役員システム統括部長の小山優雄氏だ。小山氏は“ICT4ヶ条”を掲げ、さまざまな施策を実行に移してきた。今回のOCI移行の軸にもなった4ヶ条の1つ目「クラウドファースト」は、クラウドの持つ柔軟性を生かして必要な分だけ資源を調達し、余分なものは持たないという姿勢だ。2つ目の「レスポンシビリティ」は、安全性と利便性を調和させることを指す。3つ目、4つ目は「ユビキタス」(いつでもどこでもICTを利用できること)と「BCP・DR」(BCP:事業継続計画/DR:災害復旧)で、いつでもどこでも、継続的に利用できるサービスをめざす、というものだ。

スクロール取締役執行役員システム統括部長の小山優雄氏
スクロール取締役執行役員システム統括部長 小山優雄氏

 小山氏が考えるICT戦略の肝は、「5年先、10年先にどのようなシステムを備えていなくてはならないかを常に考える」(小山氏)ことだ。目先の問題やコストにとらわれるのではなく、将来を俯瞰した上で戦略を立てているという。その上で、基幹システムのクラウド化という一つの区切りを迎えたスクロールが次にめざすのは、保持する莫大なデータの活用だ。
クラウドに移行したことで、スクロールが持つさまざまなデータが一箇所に集約され、利用しやすくなった。個人情報など保護すべきものは厳重に取り扱うが、それ以外の購買データや閲覧履歴などは積極的に活用していく考えだ。「クラウド化はこれからめざす世界の前提でしかない。情報を持っている企業はそれだけで強みになる」と小山氏は話す。

次のキーワードは“生き残り”

 小山氏によればこれからの小売は、同業他社と争うのではなく、マーケットから要求されるものに協力しあって応えていくという世界になっていくという。「その中で最終的に生き残り、いかに存在感をアピールできるかが各社の腕の見せ所だ。そのためのクラウドでありそのための情報活用」と小山氏は考えを語った。今後もスクロールは日本オラクルと協調し、さらなるビジネスの拡大をめざす。

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