リアルタイムのデータ活用で未来店舗を創造する
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大で、人々の生活様式が大きく変化している。小売店でのデジタル化が遅れていた日本でも、ニューノーマル(新常態)に直面する中で、流通業は戦略の再構築が求められている。顧客の購買行動も変化する中で今後、キャッシュレス決済やセルフレジ等の店舗の変革だけではなく、ネット販売への対応も必要になってくる。激変する市場環境にどのように対応していけばよいのだろうか。その課題と解決を導くデジタル変革の最新手法について考察する。
AIを活用したデータ分析、サプライチェーンの効率化が課題に
新型コロナは、年末・クリスマスシーズンを前に世界的に第3波が到来。欧米では流通業の店舗が活気づく11月最終週の感謝祭翌日の金曜日、いわゆるブラックフライデーでは、ネット経由の売上が例年以上に拡大した。米国の大手流通業のウォルマートやクローガーでは、ECで購入した商品を店舗で受け取れる「BOPIS(Buy Online Pick-up In Store)」
を拡大するなど、利便性を高めて顧客体験価値向上に向けた取り組みを強化して対応している。こうした海外の取り組みは日本国内にも見られ、大手流通業のイオンではBOPISの取り扱い店舗を急速に拡大している。
ニューノーマルの時代が続いていく中、流通業の戦略は感染予防の観点だけでなく、顧客満足度の向上や、事業の継続・拡大の観点からもデジタル変革が成長のカギとなる。デジタル変革の領域は多岐にわたるが、特に「オンラインと店舗の両方での顧客体験強化」「サプライチェーンの最適化」が大きなテーマとなる。
従来の需要予測モデルが通用しないために発生する欠品の問題や適正在庫、最適発注の課題を解決するためには、不測の事態をいち早くデータで把握して、予測・分析するためのAI活用が必要になる。また、店頭から収集したデータを活用して柔軟に対応できるサプライチェーンの効率化も重要になる。
現場でのスピーディーなデータ分析・活用が競争優位の戦略になるため、たとえばリアルタイムPOSや店舗内に設置された各種IoTデバイス、在庫管理に必要な端末、店舗内の来店客の購買行動の把握や分析に使用するAIカメラから得られる各種のデータ分析にもAIの活用が有効になる。
今回のコロナ禍のように予測が難しい変化に対応するためには、販売動向や顧客の購買行動の変化を店舗拠点など現場に近いところで察知して、スピーディーな対応を可能とするエッジコンピューティングの活用がここにきて注目を集めており、その最新レポートをまとめた。
シュナイダーエレクトリック
デジタル変革でデータ量拡大、ネットワークの集中・混雑が起きる
ビジネス領域ではITインフラを統合してデジタル変革へ向かう動きが加速している。ニューノーマル時代を迎えテレワーク化が進んでいることでオフィスに来なくてもセキュアに企業のデータを活用できる仕組みの構築が進んだ。この動きを拡充し、より安全・安心かつ生産性向上に貢献する統合されたデジタル変革への取り組みを進める企業が増えている。
その一方で急速にデジタル変革を目指すあまり、ネットワークインフラの不足に直面するケースも出てきた。もともと基幹システム以外に業務部門別のサーバーを保有していたり、業務の多くをクラウドのWebアプリに移行したりする企業では、あらゆる業務をカバーするために業務が集中する時間帯にはネットワークの帯域不足に陥る可能性がある。帯域幅を消費するコンテンツが増えたことで、ネットワークの中でデータ量が一時的に増えて通信の集中・混雑が起きればネットワーク速度低下により業務効率に影響を及ぼしかねない。
さらに常にスピーディーに呼び出し利用したいデータは、手元でハンドリングしたいというニーズもある。流通業の店舗の場合、そのエリアの顧客情報や商圏情報などはセンターサーバーだけでなく、自分たちの情報として手元に置き、市場分析や予測に活用するニーズが高まっている。
そうした課題の解決のためにエッジコンビューティングを活用する企業が増えている。
そのエッジコンピューティング用のITインフラを提案しているのが、シュナイダーエレクトリックだ。同社は世界的な電力・電源設備をはじめとした重電機器大手企業で、現在では重電分野にとどまらずAPCブランドでITインフラ領域でも事業を拡大している。世界的にデータセンターの電源設備などを手掛けるほか、様々な産業のITインフラをサポートするソリューションを展開している。
マイクロデータセンターを設置し効率性・安全性を向上
企業として全社を統合した大規模なサーバーをデータセンターに置き、クラウドで利用するのが効率的という考えもある。その一方でデータを扱う側から見れば、データが身近にあっていつでも活用できる方が効率的という見方もある。
全社的な情報システム運用からすれば、業務サーバーなどは余計な導入・運用コストの発生源となりガバナンス面でも不安は残る。しかしそうした部分はシステム設計と制度設計で対応できる。それよりもデータ量が肥大化を続けることが確実なクラウドシステムの課題を再検討することも重要だ。データ量が増える中で適切にサーバーの増設やネットワークの強化が実施されなければ、クラウドのメリットが発揮されず業務の遅延を招く恐れがある。インターネットでは常に通信速度が保証されるわけでないからだ。
そこでローカルで使用するデータは、各拠点に使用目的を明確にしたマイクロデータセンターを置いたり、エリア毎のデータセンターを設置したりすることで、その拠点やエリア独自でAIによるデータ分析を行うなど効率的な運用ができ、かつ効果的なマーケティング施策の実行も容易になる。
シュナイダーエレクトリックは拠点や店舗に設置するのに最適なマイクロデータセンター向け「Sシリーズ」からオフィスやエリアデータセンター向けの「Cシリーズ」と「Rシリーズ」などエッジコンピューティング用のデバイスを揃えソリューション提供する。なかでも特長的なのは、設置場所を選ばないEcoStruxure Micro Data Center 6Uウォールマウントだ。壁掛けもできる小型のラックで、設置場所の限られる店舗やオフィスでも容易に安全・安心なエッジコンピューティングインフラを構築することができる。
EcoStruxure Micro Data Center 6Uウォールマウントの紹介動画(英語)
シュナイダーエレクトリックは、世界各地で主力の電源関連ビジネスをはじめとして、幅広い産業に顧客を有し世界的な大手流通業の顧客のデジタル変革の推進にも貢献してきた。これらの知見から、テレワーク拡大や非接触をキーワードにデジタル変革が進む中で、ITインフラの機能向上や可用性向上の点からもエッジコンピューティング向けのソリューションの必要性を推奨している。
各ソリューションやデバイスについて詳細をお知りになりたい方は、下記をクリックしてシュナイダーエレクトリックのサイトをご覧ください。
マイクロデータセンターソリューション
EcoStruxure Micro Data Center 6Uウォールマウント