AI・アナリティクス活用による流通業のレジリエンス強化

2020/10/09 12:35

SAS Institute Japan株式会社 ソリューション統括本部 コンシューマーインダストリーソリューショングループ マネージャー 井上 義成 氏

通用しない過去の成功体験

 今回の講演テーマは「AI・アナリティクス活用による流通業のレジリエンス強化」。「レジリエンス」とは、回復力、危機対応力といった意味で、最近、注目を集めている。そのレジリエンスを強化するにあたっては、新型コロナウイルスの影響を含め、現在のビジネスの状況を正確に把握、それに基づいた意思決定がレジリエンス強化につながる。今回は、そういった流れで話を進めたい。

 最初に、これまでの小売業の代表的な意思決定フローについて説明する。まず顧客ターゲット、ニーズを明らかにしたうえで自社の強み、弱みを認識。自社の戦略に基づき、財務計画、MD計画に落とし込む。それぞれの計画達成に向けて店舗ごとの品揃え、棚割りなどを決める。さらに機会ロス、在庫過剰を防ぎながら、廃棄を出さずに最後まで売り切るための意思決定を行うというものだ。

 これら一連の流れで参考にしてきたのは、過去のデータだった。たとえば顧客分析は、デシル分析、RFM分析など、ID-POSデータの分析に時間と労力をかけ、来店回数を増やす努力をしていた。もしくは1回あたりの購買単価を上げてもらうCRM的なアプローチが中心だった。

 しかし新型コロナウイルスの感染拡大により、それら過去の成功体験、ルールが通用しなくなってきている。ニューノーマルの提唱や移動制限などにより、消費者のマインドや購買行動が大きく変わってきている。事業計画を立てるにも休業要請や時短営業など、不確定な要素を考慮する必要がある。

With/AfterCOVID 19 AI・アナリティクスを活用した意思決定
クリックで拡大

 その中で期待が高まるのはAI(人工知能)だ。AIに対して様々な捉え方があるが、当社としては人による意思決定がAIに置き換わるのではなく、データを分析し、人の気付かない傾向や課題を抽出、意思決定を支援することも重要な役割だと考えている。

AI・アナリティクスの活用ポイント

 具体的には、現在の消費者、ビジネス状況を可視化し、今後の需要動向、状況を予測。そのうえで過去とのギャップを明らかにし、業務上の制約やビジネスルールに基づき、いま必要な最適解や数値を抽出、様々な業務につなげていく。

AI・アナリティクス活用のポイントSASの考える5つのポイント
クリックで拡大

 次にSASが考える、AI・アナリティクスの活用ポイントをいくつか紹介したい。

 まずは「バリューチェーンで活用する仕組み」である。バリューチェーンの各段階を個別最適するのではなく、バリューチェーン全体で分析結果を連動、一貫性のあるアナリティクスによる意思決定が求められる。

 次は「精度の高い需要予測」。流通業においては、将来予測をベースとした業務最適が大切で、そのためには精度の高い需要予測が重要である。商品のライフサイクルが年々、早まっているため「新商品への対応」、さらに「季節/天候の影響」「欠品の影響」「カニバリの影響」などを考慮する。

 3つめは「リアルタイムデータの活用」。消費マインドの変化や需要変動が日々発生するなかで、常に最新データによるアナリティクスと意思決定をしなければならない。

 このほか新型コロナウイルスの影響もあり、過去実績からの予測が難しくなっていることを受け、最新のアルゴリズムを取り入れるなどに留意しながら、AI・アナリティクスを活用する。

 SASは多様な予測手法を用意している。一般的な需要予測では、時系列分析を使って予測することが多い。しかし精度が上がらない場合はニューラルネットワークなどディープラーニングのアルゴリズムを使うことで大幅に成果が出ているケースもある。いずれにせよ目的や場面によって、複数のアルゴリズムを使い、時には組み合わせることで要件に応じた仕組みを提供していきたい。

各プログラムの詳細

下記画像リンクから、各プログラムの詳細をご覧いただけます。

株式会社 ダイヤモンド・リテイルメディア 流通マーケティング局 副部長 デジタルマーケティング戦略室 室長 小平田 康寛 リテールストラテジスト 平山幸江 SAS Institute Japan株式会社 ソリューション統括本部 Advanced Analytics COE グループマネージャー 庄子 楽 氏 株式会社イー・ロジット代表取締役 兼 チーフコンサルタント 角井亮一氏

人気記事ランキング

© 2020 by Diamond Retail Media