不良在庫のはずが、高く売れる?在庫価値を“見える化”する新サービスとは?

ダイヤモンド・リテイルメディア 流通マーケティング局
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在庫回転率を20~40%改善

オークファンの新サービスzaicoban
企業の棚卸や販売実績のデータをもとに在庫の「健康診断」を行う。商品は1SKU単位で査定、リアルタイムで管理、価値を可視化する

 zaicobanの具体的な運用手順、利用法を次に説明する。

 まず企業から提供された棚卸や販売実績のデータをもとに「健康診断」を行う。検査項目は、在庫の健全性では「想定粗利率」「商品廃棄率」、効率性では「在庫回転数」「交叉比率」、正確性では「棚卸差異発生率」といった指標のもと、それぞれの状態によりA~Dの判定のほか、コメントや対処法がわかる。オークファンはヤフオクやアマゾンなど、ネットとリアル双方の商品の実売データベースを保有、それをもとに在庫の価値を可視化できる点が特徴だ。

 判定をもとに自社店舗で値引き販売する、ネットで処分したほうがよいなど、在庫への適切な対処法もわかる。いずれも商品をSKU単位で査定、リアルタイムで管理、価値を可視化しているのが強みだ。

 ユニークなのは「販売活動」にある「値付け適正度」や「販路適正度」といった項目。前述の項目と同様に「値下げすべき商品数割合」「値上げすべき商品数割合」を表示、さらに評価判定が出る。

 つまり商品の市場で売買されている相場と比べ、さらに値下げ、もしくは値上げしたほうがよいかを判断する材料としても使えるわけだ。

 「導入企業の例では、ある店舗で売られていた商品はアマゾンよりも安い価格がつけられていた。立地は比較的競争が緩やかな郊外で、本来なら、もっと高い値段をつけても売れる。このようにzaicobanを使えば、適正な価格を設定することができる」(田島氏)

 これらを通じ、在庫回転率と粗利益率の両方を上げることが可能になるという。在庫の規模や状態にもよるが、滞留傾向商品の値下げや、専門業者への処分販売により、在庫回転率は20~40%、価格弾力性の低い商品の値上げや品揃えの見直しで、粗利益率は0.5~3ptの改善が期待できるという。

 競争が激化するなか、他社とは異なる商品で差別化を図ろうとする企業は多い。その中、今回、オークファンがリリースしたzaicobanを効果的に使用すれば、リスクを最低限に抑えながら、思い切った品揃えにもチャレンジできるようになるかも知れない。

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