新型コロナウイルス対策にも一役買った中国IT企業の最新テクノロジー

菊谷信宏(GloTech Trends編集長)
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充実したOMOの仕組みが拡散リスクを低減

OMO型リアル店舗の存在も拡散抑制に一定数寄与したとみられる(写真はアリババが展開する「フーマー・フレッシュ」)井フーマーフレッシュ外観
OMO型リアル店舗の存在も拡散抑制に一定数寄与したとみられる(写真はアリババが展開する「フーマー・フレッシュ」)井フーマーフレッシュ外観

 もう1つ、中国が新型コロナウイルスの拡散抑制に成功した理由として、OMO(Online Merges with Offline:オンラインとオフラインの融合 )が 高度に進んでいることも忘れてはならない。 

 2016年末からアリババを中心にOMOを推進する動きが加速していったことは周知のとおりだが、デジタルへのリテラシーが高い若年層で主に普及していたのが実情だった。しかし、都市封鎖によって外出できない状況下で、シニア層などデジタル化と無縁だった人々も半ば強制的にOMOの世界に取り込まれ、オンラインでの買物が生活インフラの一部として浸透していった。

 たとえば 、テンセント(Tencent)傘下のOMO型生鮮食品スーパー「毎日優鮮」では、都市封鎖後1週間で対前年比3.5 倍の売上を記録、客単価も同4倍を記録している。こうしたニューリテール戦略で築いた土台が、世界各国で見られるように都市封鎖時にリアル店舗へ人々がパニック的に押し寄せ、結果ウイルスを拡散するというリスクを低減させた側面はあるだろう。

 新型コロナウイルスとの戦い は、日本を含め世界各国がこれまで経験したことのないような難題であり、英知を結集し力を合わせて克服することが求められる。中国での最新テクノロジーの活用事例が必ずしもほかの国で同様に効果的だという確証はないが、ポジティブな成果を挙げた事例として、部分的にでもヒントとして学ぶことは有効かもしれない 。
 

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