1月にニューヨークで開催されたNRF2024:Retail’s Big show(以下、NRF2024)」では生成AIをはじめ、AI全般への関心が高かった。中でもリテールテックにとって重要な「レジ領域」では、レジレス店舗とAI活用型セルフレジの実用例が増えると同時に、スマートカートも前年に引き続き注目が高まっており、今後導入する企業がさらに増えそうな気配だ。
アマゾン、RFID型レジレス店舗を開業
2023年2月、アマゾン(Amazon.com)はレジレス店舗の「アマゾンゴー」や「アマゾンフレッシュ」の新規出店凍結を発表した。
一方で、エイブリィ・デニソン社と共同でRFID技術を使用したジャスト・ウォーク・アウト(JWO)システムを採用した店舗をシアトル市内の環境配慮型アリーナ施設「クライメート・プレッジ・アリーナ」にテスト導入し、同年9月にはNFLシアトルシーホークスの本拠地、ルーメンフィールド内のグッズ販売店に実装した。
NRF2024ではアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)のJWOテクノロジーVP、ジョン・ジェンキンス氏とエイブリィ・デニソンのグローバルRFID市場開発VP、ビル・トニー氏がセッションに登壇した。
アマゾンゴーやJWO実装店舗が食品・飲料のみを販売するのに対し、ルーメンフィールドのグッズ販売店では衣料品や帽子などを販売し、全商品にRFIDタグを付けている。
顧客は入店し、欲しい商品を持って出口ゲートでクレジットカードかデビットカードをかざすか、アマゾンワン(手のひら認証決済)で店を出ると自動的に課金される。
ジェンキンス氏は、グロサリーなどを販売する通常のJWO店舗と異なり、衣料品はパッケージに入っていない状態だったり、顧客がその場で試着するなど「売場は“カオス状態”であるため、コンピュータービジョンベースのシステムでは、カメラが正確に追跡するのは不可能な場合がある。
しかし(RFID導入で)新たな可能性が広がった」とコメントした。トニー氏は「RFIDは従来アパレルのみと思われがちだったが、現在他の小売業態にも使用されている」と述べた。
またジェンキンス氏は「コンピュータビジョン、カメラ、センサーを設置するJWO店と比較してRFID店はコンセプトから開業まで6週間しかかからず、非常に早く設置でき、既存店にも導入できる」とコメント。
ただしシステム開発には3年かかったそうだ。JWO技術を使った店舗は23年9月22日時点でアマゾン直営店70店舗以上、第三者が運営するライセンス供与店は米国内外で、スタジアム内コンビニエンスストア(CVS)を中心に空港内、大学キャンパス内などに85店舗以上あり、後者はその後も着実に増えている。
アマゾンに迫る!ジッピン、AiFi
米国内でアマゾンに次いでレジレス店舗数を増やしているのがレジレスソリューションを開発するジッピン(Zippin)だ。
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