展望2020:変わるか日本の通信業界、楽天の本格参入に各社警戒

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皇居の様子
通信業界では2020年を前に、楽天が春にも自社でインフラをもつMNO(携帯電話事業者)としてのサービスを本格的に開始することへの警戒感がくすぶっている。写真は2019年5月4日、皇居で撮影(2020年 ロイター/Issei Kato)

[東京 4日 ロイター] – 通信業界では2020年を前に、楽天が春にも自社でインフラをもつMNO(携帯電話事業者)としてのサービスを本格的に開始することへの警戒感がくすぶっている。格安料金とともに、電子商取引(EC)などの巨大な経済圏との組み合わせでユーザーの囲い込みを進めるとみられるためだ。一方、来春から商用化が始まる5G(第5世代移動通信)の一般消費者への普及はまだ先で、まず産業分野が先行しそうだ。

「経済圏」で誘引、料金にも警戒感

50ギガバイトで900円ーー。楽天のものとされる「料金プラン」が2019年11月、SNSなどで拡散した。業界平均を大きく下回る料金に、ネットでは一時騒然となった。すぐさま楽天が、ダミーの数字を入れたホームページの画面を誤って流出したと釈明し「幻の料金プラン」となったが、楽天の三木谷浩史会長兼社長が「他社が真似できない」料金プランを打ち出すと表明しているだけに、業界関係者の警戒感はくすぶる。

楽天は電子商取引(EC)の商店街や銀行・証券、旅行代理店などとポイントサービスを連携した巨大な「経済圏」を形成している。三木谷氏の示唆するような格安プランに加え、携帯電話でもポイント還元などの施策を打ち出せば、楽天経済圏のヘビーユーザーへの訴求効果は高い。

この楽天経済圏に対抗し得るのはソフトバンクとみられている。傘下のヤフーがECに力を入れるほか、ZOZOの買収やLINEとの統合を矢継ぎ早に打ち出すなど、経済圏を急速に拡大させている。NTTドコモやKDDIも異業種との提携を進めており、同様の経済圏拡大に向けた動きは続きそうだ。

当初は2回線目需要ねらいとの見方も

楽天は基地局の不足を補うため、東京23区、名古屋市、大阪市を除いたエリアや地下鉄、地下街、屋内施設などでKDDIのネットワークを利用するローミング契約を結んでいる。利用料金は1ギガバイトあたり約500円で、楽天のユーザーがローミングする機会が増えればその分、KDDIの収益に貢献する一方、楽天としてはコストがかさむ。

このため、自社の基地局が少ないスタート時点から無理にユーザー拡大を図るのは必ずしも得策とは言えなさそうだ。SBI証券の森行眞司シニアアナリストは「緩やかな立ち上がりになる」と見ている。ローミング料金を考えれば、しばらくは3キャリアに対抗できるようなヘビーユーザー向けのプランも用意しにくく、当面の競合相手は日本通信やIIJといったMVNO事業者になりそうだという。森行氏は、楽天のサービスは現時点では品質面で課題があるとみられているとし「当初は2回線目の需要を取り込み、品質の改善に合わせて1回線目としての需要を取り込む戦略もあり得る」とみている。

5G、目先は「ローカル」活用先行か

今春にも5Gの商用化が始まる。各キャリアとも、基地局の設置を急いでいるが、十分なエリアをカバーするには時間がかかる。目先は、エリア限定の「ローカル5G」による工場の自動制御といった産業面での活用が先行しそうだ。

一般ユーザー向けサービスでは、端末価格が課題となる。将来的には数量効果で安くなる見込みだが、当面の5Gサービスは高級端末に限定された機能になり、 当面は一部のヘビーユーザーの利用に限られそうだ。 各社の計画や5G関連の減税策を踏まえると、一般ユーザーの利用拡大に弾みがつき始めるのは「人口カバレッジが50%程度となる2021年度の夏あたりからではないか」(SBI証券の森行氏)という。

それでも渋谷のスクランブル交差点など通信の混雑する場所では、一部のヘビーユーザーの通信トラフィックが5Gに流れることで、現行の4G(LTE)通信の混雑を緩和する効果が期待される。それにより、動画など通信量の大きいコンテンツの利用が4Gユーザーに浸透すれば、5Gの本格普及の足がかりにもなり得る。

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