[28日 ロイター] – 米マイクロソフトが米国防総省からクラウドの大型案件を受注したことを受けて、アナリストは、米アマゾン・ドット・コムのクラウド最大手の地位が脅かされる可能性があると指摘している。
米国防総省は25日、マイクロソフトとクラウドサービス契約を結ぶと発表した。期間10年の契約で、契約額は最大で100億ドル。クラウド最大手のアマゾンが優勢とされたが、最終的にマイクロソフトが受注を勝ち取った。
国防総省の「JEDI」と呼ばれるプロジェクトで、同省のデータをクラウドで一元管理する事業。戦場やその他の遠隔地からのデータおよびクラウドへのアクセスが容易になる。
マイクロソフトの株価は28日に3.4%上昇し、過去最高値の145.67ドルを記録した。
JPモルガンのアナリスト、マーク・マーフィー氏は「マイクロソフトにとりこの契約は大きな勝利で、(マイクロソフトの)Azureは、クラウドプラットフォーム戦争で大きく前進することになる」と指摘した。
調査会社カナリシスによると、クラウド市場では、アマゾンのアマゾンウェブサービス(AWS)が約32%のシェアを握っている。マイクロソフトのAzureのシェアは約18%。
アマゾンの売上高全体に占めるAWSの割合は約13%、マイクロソフトの売上高に占めるAzureの割合は約33%と、クラウド部門は両社にとり収益の柱となっている。
今回の入札では、兵器開発や戦争につながりかねないクラウドサービスを受注することの是非についてIT大手の意見が分かれたほか、選定過程への批判も出ていた。また、アマゾンに批判的なトランプ米大統領の注目も集めていた。
ミズホ・インディペンデント・リサーチは、マイクロソフトがここ数年いかにクラウド分野に進出したかの証だと指摘し、同社の目標株価を8ドル引き上げ、160ドルとした。
ウェドブッシュのアナリストは、今回の受注獲得は、向こう10年で1兆ドルと推定されるクラウドビジネスや、1000億ドル規模の米政府の案件で、マイクロソフトが大きなシェアを確保することを後押しする、と説明した。